〈ちょんまげぷりん2〉荒木源

江戸時代のサムライが現代にタイムスリップしてパティシエを目指すという、ちょっと変り種な話の「ちょんまげぷりん」の続篇。
映画化にもなって続篇という、出版社的にはオイシイノリでしょうか。。。

木島安兵衛が江戸に戻って8年が過ぎた。
14歳になった遊佐友也は、コンビニで万引きをした後に、家に帰れずに夜の街をうろついていた。
深夜、スーパー「とみや」付近で、巨大な水溜り状の穴に吸い込まれた友也は、180年前の江戸時代にタイムスリップしてしまう。
いきなりのことに戸惑う友也だったが、この世界には菓子屋を営んでいる安兵衛がいるはず。
けれども、訪れた菓子屋「時翔庵」は、すでに潰れ、安兵衛も行方知れずになっていた。。。

今回は「ちょんまげぷりん」とは逆パターンで、江戸に現代人が行く展開。
髪が茶色いので外国人と思われたり、英語のテキストを持っていたから反幕府的だと、しょっ引かれ(なにせこのころは鎖国ですから)、現代人がタイムスリップするのは、目立ってしようがない(ま、それをいえばサムライが現代にタイムスリップしても同じですが(笑))
当時の歌舞伎役者である市川海老蔵や勝海舟など、実在の人物も入り乱れての虚々実々な物語。
しかし、江戸時代でプリンを作るのは、牛乳がないということでかなり難しいことで、代用に豆乳を使うんですが、臭みがあって上手くできない。
それで仕方なく、和菓子屋を開いて、それを潰してしまった安兵衛ですが、今度こそ、プリン作りに挑みます。
はたしてプリンはできるのか。。。?
「今から古(いにしえ)を見るのは、古から今を見るのと変わりはないサ」
という、まるでタイムトラベルをしたような、「氷川清話」に出ている勝海周の言葉は、この小説のことを示唆しているようで面白いです。
タイムトラベルするのはふとしたきっかけみたいですけれど、タイムトラベルから戻ってくる理由は、なんとなく腑に落ちてしまったりした。
そういうことを考えると、もう友也とひろ子の親子と、安兵衛がタイムスリップすることはないような気がするれけれど、安兵衛は江戸で結婚してしまったから、案外、ひろ子はタイムスリップする日が来るかもしれません。

小学館文庫 2010年8月発行 ★★★☆


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Secre

No title

これ何かの特集にもありましたけどおもしろそうですね。
幕末タイムスリップといえば最近では仁でしょうか
今と昔を比較したりするには、この題材はおもしろいですね

No title

タイムスリップものというのは、そういった設定だけでオイシイですよね。1より2のほうがちょっとテンションが落ちるけれど、無難にまとめてあるのでなかなか楽しめます。仁もちょうどこの時代のタイムスリップものですしね。映画はWOWOWで放映されたら、ぜひとも観てみたいです。

No title

もしも昔にタイムスリップしたら、歴史上の有名人を見つけて助けを求めるのが一番・・・・

・・・でも誰にしよう。西郷隆盛は意外とキツイらしいし、坂本竜馬は死んじゃうし。。。勝海舟は悠々自適で生き延びたかも。ジョン万次郎は東大の先生になったはず・・・

野心家で珍しいものが好きで、勝ち組で成功する安全な人・・・・
・・・・岩崎弥太郎???福沢諭吉????

No title

あっと、なるほど。
有名人を捜し出してというのは案外いい案かもしれませんね。
でも死んじゃう人と一緒にいると、巻き添えを食ってしまいそうで、そういったころは人選が大事ですね(笑)

No title

クライマックスはプリンが出来るかどうかですか?
あっ、友也が万引きしたのが牛乳だとか?腐るか(笑)

No title

クライマックスはそんな感じです。豆乳の臭みを何で取るかが、この小説の落としどころです。よく冷蔵庫なんかに入れたり、ご飯炊くときに入れたりするアレですね。牛乳はさすがに。。。(笑) あっと、今思いついたんですけれど、母乳とかいいんじゃないか、と。でも量を揃えるのが難しいですね。貰うのも大変だし(笑)

No title

なかなか面白い発想ですね、パティシエとは。
この映画をうちの近所のクッキングスクールでロケしたみたいです。ちょんまげぷりんのほうで「洋菓子店 アントワーヌ」として登場です^^
ぜひこの本も読んでみたいです!ポチ☆

No title

江戸のサムライがパティシエを目指すというのが、1の落としどころでしょうか。「洋菓子アントワーヌ」ということは、安兵衛が洋菓子コンクールで優勝して、お店を開いたやつかも。。。なかなかサクサク読めて面白いのでお薦めです。

No title

この手の話って、もてる知識を総動員して書いてみたい話ですね。しかし、歴史と言う厳然たる事実の中にフィクションを盛り込むのは勇気もいりますね。

No title

たしかにこういった話は、いろいろと知識があって、それをいい具合に絡めてくれると、読んでいる方もやるな~とか思ってしまいます。その加減のよさがこの手の作品を成功を導くといった感じですね。

No title

あの可愛かった友也君がコンビニで万引きって出だしがちょっとショッキングでした(笑)

No title

> びぎRさん
普通に育てば万引きって出来ないから、ひろ子の育て方が悪かったとしか。。。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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