〈夜行観覧車〉湊かなえ

映画〈告白〉がブレイク中の湊かなえですけれど、この〈告白〉は、米アカデミー賞外国語映画賞部門ノミネートに向けて、日本代表作品として選ばれた作品のようです。
その湊かなえ、プロゴルファーの宮里藍が最近のお気に入りの作家などといっているし、なかなかメジャーな作家になってきたようです。

父親が被害者で母親が加害者でその息子が行方不明。
高級住宅地で起きたセンセーショナルな事件だったが、そこに住んでいたのは一見、しあわせに見える人たち。
いったい何がその家族に起きたのか──?

この家族に何が起きたのかというのを、周囲の家族の日常から、じわじわと描き出すという、なかなか斬新で心憎いことをやっています。
その周りにいる家族も、ひとりひとり何か問題を抱えているので、なんか複雑なミステリーを読んでいる感じです。
でも、結果的には普通のどこにでもある話なので、この話をここまでぐいぐいと読ませるのは演出が上手いのかな、と(笑)
しかし、犯罪にはいたらないけれど、ちょっとした悪意ある人物描き方はあいかわらずです。
人間の嫌な部分をえぐりだすのが最高にうまい。
だから読んでいて、いるいるこういう人とか思って、嫌な気分になりながらも(笑)、妙に読ませてしまうのがいつもながらのワザなんでしょうね。
〈告白〉のラストの衝撃を思うと、今回もちょっとラストに毒味が足りなかったけれど、〈告白〉以降の作品のなかではかなりいい出来かも。
これから書く作品次第では、女性のミステリーの書き手として、宮部みゆきの二番手くらいまではいくかもしれません。

双葉社 2010年6月発行 ★★★☆


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コメントの投稿

Secre

No title

「告白」はこのあいだ読みました。かなり一気に読めたので、面白かったです。
読み終わって、この人、(いい意味で)ひねくれた考え方をするひとだなぁって思った。映画も松たか子がどう演じているか気になりました。

No title

宮部みゆきにはかなわないんですね

No title

はなみさん。湊かなえは読みやすいので、図書館でも出る作品、いつも予約数が凄いです。今回の映画化でまた一気に知名度を上げた感じですね。「告白」は特にラストに毒を含んでいるので、ちょっとテレビドラマでは無理っぽい感じです。映画、米アカデミーの日本代表だから、かなりいい線いっていると思っていますが。。。

No title

タヌキさん。宮部みゆきは「あんじゅう」あたりを読むと、凄いものがあるので、この年季がかった?(笑)文章力と、読者が求めるエンタメ路線を書かせたら敵わないのかな、と。最近、考え方に鼻のつく場面もあるんですけれど。。。

No title

いるいる。な人たちを日常の情景の中に配する。。。ある意味一番高度な技ですね。

いや~な人達、リアルでうんざりなので、そこまで出来の良い作品の中では出会いたくないかも・・・・でも表現としては学んで見たい気も・・・・

No title

こういった、いや~んな人間(笑)を描くのか上手いのは、ワザを通り越しているような気もします。いや~んな人間もある種のパターンではなくて、これだけバラエティに富んで、いや~んな人間を描くのだから、凄まじくトンデモない人かもしれません。。。

No title

小説中の「人間の嫌な部分」って、自分の中にも見つけてドキッとすることがあります。
悪役でも許せるのと許せないのって自分との共通点の有無で決まるのかも…

No title

一時、宮部みゆきに外れ無し!と確信していた時期がありました。最近の作品は読んでないのですが、女王健在と言う事なのでしょうね。読みやすい、わざわざ難しい表現をしないと言うのはとても大切な事だと思います。湊かなえ氏の作品、読みたくなりました。

No title

びぎRさん。誰にでも嫌な部分はあるものですが、それを見つけてドキッとするだけ、いいですよ。本当の悪役はそれに気づかない人なのだと思います。

No title

タバさん。最近、宮部みゆきはファンタジー方面が燃え尽きているような気がします(笑) 湊かなえも年季が入れば、宮部みゆきに匹敵しそうですが、まだまだそこまでは。。。ですね。

No title

こんばんわ~~♪読みたいですね~この本!ポチ☆
いるいるこういう人なんだ~、買いですね^^

No title

読みやすいから、人気があるようです。
あんまり周りにこういう人たちを招きたくないですが。。。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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