〈ボトルネック〉米澤穂信

かなり前から気になっていた本です。
図書館の予約待ちがなくなったら読もうと思っていたんですが、いっこうに予約数が減らないのでおかしいと思っていたら、どうも文庫版が発売されていて、ちょっとばかし売れていたらしい。
しかたなく予約の列に並んで待つこと約2か月、ようやく回ってきました。

断崖絶壁の東尋坊に、諏訪ノゾミを弔うために訪れた、嵯峨野リョウ。
けれども突然おそわれた眩暈に、不覚にも崖下に落ちてしまった。
だが、つぎに目覚めたところは、自分の住む金沢の街中だった。
本来なら、自分は死んでいるか、重傷を負っているはずなのにもかかわらず。。。
けれども家に帰ろうとしたリョウは、自宅に知らない人間、嵯峨野サキが住んでいて唖然とする。
どうやら彼女は、リョウの世界では産まれることなく死産した姉のようだった。
混乱しつつも驚くリョウ。
しかもこの世界ではリョウは産まれていないということになっていたのだ。。。

なんか、いつも読んでいる米澤穂信の作品とは、毛色が違う感じの展開です。
あるきっかけで、自分が存在していなくて、死産した姉が生きている世界へ迷い込んでしまうという、最近では村上春樹の「1Q84」とか、いま流行の?量子論的並行世界が展開されます。
なので、こういった世界がかなり好きな私にとっては、のっけから惹きつけられました。
姉のサキがいるということで、リョウの世界では死んでいる人が生きていたりと、読んでいるほうも、リョウとサキがいるかいないかで、こんなにも世界が変わってくるのだというのを見せ付けられ、その違いというのが全編にわたってのミステリーのようでした。
ラスト、ちょっとわからなかったのですが、これはサキがメールした言葉でしょうか。
私は飛び降りずに、そちらの世界に留まれと解釈しましたが。。。

新潮社 2006年8月発行 ★★★☆


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Secre

No title

藤中さんはこういうお話がお好きなんですね
IF的なお話なのでしょうか
もし自分が生まれていなければ、観れるなら観てみたいけど、今より平和で幸せな世界が広がっていたら、落ち込むでしょうね

No title

嵯峨野家の家庭の状況がほんの少し違っただけで、周りの状況までが少しずつ違って、その積み重ねが・・・・

などと言った部分がギッチリ書き込んであったら、さぞ凄いできばえなんでしょうねえ。

No title

そういえば、本屋さんで文庫本を見かけますね。
インシテミルも映画化されたそうなので、米澤穂信ミニブームが起きているのかも(笑)
何となく違和感を感じながら、それでいてとても気になる展開でした。
でも、ラストのメール。。。。。。。ハッキリしませんが、私は戻った世界からだったと感じたような・・・(^^ゞ

No title

タヌキさん。自分が産まれていない世界に行くのって、いろいろな面でけっこうシビアな感じですよね。異世界ものってけっこう好きです。気がついたら世界が自分だけになっていたとか、そういう設定ってわくわくします。とはいっても実際に起きたらビビリますが。。。

No title

イカダさん。けっこうこういった設定というのはオイシイですよね。その二つの世界が、姉がいるか弟がいるかで微妙に違ってくるといったところに作者の力量を感じました。願わくば、ラストがもう少しわかりやすくしてくれればよかったのですが。。。

No title

めにいさん。インシテミルが映画化でしたか。どうりで米澤作品にいつもより予約が多くなっていると思いました。ラストのメールは私も最初はお母さんからのメールで、やはり飛び降りてしまうのかな、と考えたんですけれど、これじゃああまりにもということで、いいほうに解釈してみました。

No title

生まれてないはずの弟が訪ねてきた姉も驚いたことでしょう。
こういう話を読んだら「自分の身に起こったら」って考えますね。

No title

一人っ子なのに兄弟が訪ねてきたら、普通は隠し子かと思います(笑)
でも、生まれていないはずの兄弟っていうのも見てみたい気もしますが。。。

No title

自分が生まれていない世界のお話、ってこれ白月も気になる話ですね。
本屋で見かけたことはありましたが、そういえば読んでない…。
自分がいない世界を想像なんて出来ないので、気になるテーマですねぇ…。
今度借りて読むか買って読むかしてみようかな~^^と思いました。

自分の身には起こりえないことでも、こういう話は気になります。

No title

この本はそういったアイデアが面白いですよね。
こういった新しいアイデアが思いつく作家さんはこれからも期待できそうです。
米澤さんはとくに「インシテミル」という作品が秋に映画化されるので期待大です。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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