〈青空の卵〉〈仔羊の巣〉〈動物園の鳥〉坂木司

ひきこもり探偵シリーズ三部作。
日常ミステリーで、東京創元社から出版されたからかはわかりませんが(笑)、著者は覆面作家としてデビューしたようです。
なので、男だか女だかわかりません。
読んでみて、どことなく女性が書いたような印象もうけますが。。。
サイン会でも、来た人に口止めしているみたいで、なかなかガードが堅いようですね。

外資系の保険会社に勤めている、僕こと坂木司。
日本企業に比べて、比較的自由に休みがとれる外資の保険会社に勤めたのには訳がある。
友人で、ひきこもりの鳥井真一をなんとか外の世界へと引っ張り出したいと思っているから。
街で出合った気になることや不思議なことを、鳥井の許に持ち込み、社会のことに関心を惹かせる日々。
鳥井はその並はずれた鋭い観察眼で、物事の真実をいいあてる。。。

いわゆる殺人が起こらない、日常ミステリーといわれるジャンルですが、探偵役が今風の、ひきこもりというのが面白いです。
ひきこもりの鳥井は、口が悪くて精神的に不安定ですが、料理の天才でもあって、しかも人間観察にも長けていて、いわゆる「普通じゃない」人間。
一方、平凡な日本的サラリーマンの坂木司は、「異能」や「奇行」の才を持ついわゆる「普通じゃない」人間に惹かれるタイプなので、このふたりは絶好の探偵とワトスンタイプというところでしょうか。
ちょっと御手洗潔と石岡和巳の関係をもっと繊細にして、お互いの依存度を濃くしたという感じです(笑)
こういった男同士の描写が、この覆面作家が女性ではないかと思える理由ですが。
しかも腐女子じゃないかと。。。(笑)
でもこの作風、私にはちょっと見覚えがあるんです。
もしかしたら、ライトノベルでそこそこ名前が知られていて、児童書でも活躍している作家じゃないかと思っていますが、調べたら年代が違うので、その作家に影響を受けた新人さんかもしれない。

ミステリ的には特別、驚いたというのはないのだけれど、1話1話に出てくる登場人物たちが使い捨てキャラじゃないので人間が描けていて、みんなそれほど悪いヒトではないという結末に、読み終わった後にすがすがしい気持ちになりました(笑)
ただ、鳥井の言葉が乱暴なところが気に障るし、鳥井の嫌いな人間に対して辛辣すぎるところ──特にラストの松谷さんを槍玉に挙げるのは、やりすぎの感じもしなくないです。
でも総じて、坂木と鳥井の関係はけっこう好きです。
とくに第一作目の〈青空の卵〉は。
ゴロゴロ死体が出る殺人事件も好きですが(笑)、たまにはこういった小説もいいかという気持ちになってきました。

http://ecx.images-amazon.com/images/I/5124SZTT1KL._SL75_.jpg
青空の卵
読了日:05月14日 著者:坂木司
東京創元社 2002年5月発行 ★★★☆

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51WSF88YDWL._SL75_.jpg
仔羊の巣
読了日:05月17日 著者:坂木司
東京創元社 2003年5月発行 ★★★

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51Z3JRDV4NL._SL75_.jpg
動物園の鳥
読了日:05月19日 著者:坂木司
東京創元社 2004年3月発行 ★★★

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Secre

No title

日常ミステリ、好きです。気楽に読めそうですね。

No title

こんにちは。奇遇です!私もつい先日、某古書店で3冊まとめ買いしたところです。ぼちぼち読んで行こうと思っていた矢先でしたので、なんともタイムリーな記事にちょっとびっくり!記事の最後の一行で、読むのがとても楽しみになってきました♪

No title

めにいさん。年寄りから中学生まで、それぞれのキャラが立っているので、なかなかです。ただ、鳥井のぶっきらぼうさが、読む人の温度差がでてしまうかもしれません。

No title

さにーさん。それはたしかに奇遇です。坂木司を読め読めと何かが耳元で囁いたのかも。しかも同時に(笑) 私は図書館に3冊まとめて置いてあったので、ここぞとばかりに借りてきました。ひきこもりというのがちょっと面白いし、周りのキャラたちが立っているのがいいです。

No title

マイクロフト氏がそのタイプの探偵ですよね。

引きこもり探偵に考えさせて、解決した事件で感謝されるとしたらオイシイ役だけど、この様子だと事件とも言えないような不思議をただ解明してるだけ?

No title

作家自身がひきこもりなのかもしれませんね。
口止めだけで覆面を守れますかね~ 文字通り覆面してたりして(笑)

No title

イカダさん。そうそう。ほとんど出てくる謎は、事件という事件ではないですね。この、ひきこもり探偵、料理が上手いのと、全国の銘菓をネットで取り寄せを趣味としているので、そこのところも見せ場?です(笑)

No title

びぎRさん。そういえば何か覆面してましたね。KKKみたいに(笑) そこまでやるということは、案外、著名な人とかも思っていますが、どうなんでしょうね?

No title

動物園と聞くと楽しい感じがしてきます!

No title

そういえば、卵から巣になって鳥ですね。ここら辺にも意味があったのかも。。。

No title

日常ミステリーと言えば「空飛ぶ馬」が一番に思い浮かびますが、あれは少女とおじさん。男性作者っぽいですね。
藤中さんの文でコレはやはり引き篭もりの女性作者な気がしました^^

No title

北村薫さんも覆面作家で性別わからなかったけれど、女性の描き方で男だとわかる人にはわかったみたいです。なんか理想的な女性が多かったとかで、これは男性が書いたのだと。。。(笑) どうしても描き方で男女がわかってしまうようですね。

No title

ある本で紹介されてた〈青空の卵〉に興味を持ったのがきっかけで、ひきこもり探偵シリーズ三部作を読みました。〈青空の卵〉を手に取る前から物語の語り手の名と作家の名は頭に入っていたのに、同名だと気が付いたのはあらすじを読んだ時でした。
覆面作家としてデビューされた事は単行本版〈青空の卵〉の巻末インタビューで知りました。ちなみに巻末インタビューを読む為、〈青空の卵〉のみ単行本版も購入しました。覆面作家だからカバー折り返しに作家の略歴がないんですね。
最初は「女性かな」と思い、「いや、男性か」と思い直し、「あれ、やっぱり女性か」と作品を読む度に変わってしまって、どっちか分かりません。作家の坂木さんは鳥井と同じか、似た過去を持ってると思ってます。自分がこの世界に存在する事に許しを請う。疎まれた人間にしか分からない気持ちだと思います。【汐桜】

No title

制限文字数を超えたんで、もう一件コメント欄失礼します。
作品については気付かされる事があったり、自分の行動を顧みたりする事がありました。鳥井や彼らが語る真実を聞いて、坂木が感じた事を自分も感じました。
前回登場した方が次回にも登場して、鳥井や坂木に力を貸したり、共に食卓を囲んだりするところは良かったです。登場人物も魅力的ですね。身近に居たら楽しそうだなと思うのは栄三郎さんや滝本。滝本だけでも楽しいですが、小宮君との掛け合いも漫才みたいで好きです。お気に入りは坂木です。ただお人好し過ぎると思うんで身近に居たら心配しどうしになりそうです。鳥井の言葉が乱暴なところは不思議と気に障りませんでした。疎まれてきた人間は己の心を守る為、他人に牙を剥くもんですから、鳥井もそうなのかなと思ってます。お気に入りかと言えば、そうでもないんですが。ですが、坂木との掛け合いが好きです。【汐桜】

No title

この作品も読まれたんですね。今回、なかなかたくさんの本を読んだのですね。坂木さんの作風はどうみても女性のものと思いますけれど、もしもこれが男性がわざと書いたとしたら、ええっ~と驚いてしまいます。ここまで女性の作風になりきって書く男性というのにも興味がありますし。ま、坂木さんは女性でしょうけれど。。。(笑) 坂木さんの書く小説はキャラクターが立っていていいですよね。しかも、なんとなく、清々しい感じになれるというのは、他の作家では出来ない技だと思いますね。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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