〈雷の季節の終わりに〉恒川光太郎

老後の楽しみ?にと、大事にとっておいたこの本ですけれど(笑)、そろそろ誰も図書館予約に並ばなくなったので、しめしめとばかりに取り寄せました。
「夜市」でデビューしてからの第1作、しかも長篇ということで、いやでも期待が高まりますが、大事にとっておいただけあって(笑)、かなりいい出来。
やっぱ、恒川光太郎、すごいや、とあらためて思いました。

穏(おん)という、現世から隠された町で暮らしている賢也は、幼いころの雷の季節に姉が失踪してしまってから、血のつながらない老夫妻の隣の敷地で暮らしていた。
どうやら、姉が失踪したと同時に、賢也は「風わいわい」という、物の怪にとり憑かれたようなのだ。
「風わいわい憑き」は、穏では忌み嫌われるため、賢也はそのことをひたすら隠す。
ある時、穂高という少年のような少女に声をかけられ、遼雲という少年と共に仲間になり、墓町という、決して行ってはいけない場所に踏み入れてしまったことから、秘密を知ってしまい、賢也は穏を追われることになってしまう。。。

この、穏から現世に逃げようとする賢也からの視点と、反対に現世から穏に来ることになってしまった茜からの視点で物語が展開され、この2人がどこでどうリンクをするのかと思っていたら、なるほど、そうきたか!!といった感じでした。
ここのところの意外性は思ってもいなかったので素直に?オドロキ。
あいかわらず不思議な世界が展開しているけれど、それが作り物めいていないところに著者の力量を感じます。
〈南の子供が夜いくところ〉の最初の部分は、ちょっと作り物っぽかったので。。。
やっぱ、初期の頃の作品は新鮮でいいな、と。。。

角川書店 2006年10月発行 ★★★★


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Secre

No title

〈南の子供が夜いくところ〉は、後二人待ちとなりました。楽しみ~~。でも最近ブログで恒川光太郎の素顔を知ってしまったので、イメージが重なりよくないかも。(笑)
この作品は、独特の舞台でよかったですよね~。もっともっと世界が広がりそうな気がしたんですけど、あまり続編を書こうとはなさらない方に見えますね。

No title

いま調べたら、なんかワイルドな顔でしたね。東京生まれのようですが、りっぱな沖縄人って感じです。つづきを書かないのは、たぶん、1作で精いっぱいのものを出しているから、これ以上のものを書くことがないということだと思いますよ。

No title

老後にまで置いておいたら、本が腐りますよ
非現実をまるであるかのように書くというところは見習わなくてはならないかもしれません
また、一作品、集中してというのも見習わなくちゃ

No title

老後は面白かった本をもう一度読む方向になりました(笑)
一作品に集中して書いているから、読者をも惹きつける内容になっているのでしょう。たしかに見習わないと、ですね。

No title

隠れの世界とうつし世の世界。ちょっといい設定ですねえ。

居場所をなくして逃げ込もうとした先から、やはり逃げて来た誰か。
出会った二人が何かを変えたんでしょうか。

No title

そうそう。出逢った2人が実は。。という展開で、ちょっと、おおっという感じの展開です。ここのところは普通の出会いだと思っていただけにびっくりでした。隠れ世界というか、もうひとつの異世界という設定は、恒川光太郎の得意とするところです。

No title

気になっている作家ですがなかなか読めずにいます。
私の場合本当に老後になってしまうかも…(笑)

No title

この作家はホラーでファンタジーで奇妙な味わいなので、たぶん、びぎRさんも好みだと思います。まずは「夜市」から読んでたしかめてください。老後まで読まないのは勿体ないかも。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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