〈Nのために〉湊かなえ

デビュー作〈告白〉が、かなり強烈で、それにつづく作品がいまいちだったのですが、この作品でそれが払拭された感じがします。
当初、色濃かった物語のブラックさというのは影をひそめてしまったけれど、先の読めない複雑な構成は、いったいどういった展開になるのかという面白さに満ちていて、一気に読めてしまいました。

野口夫妻が殺害されたという事件現場に居合わせた、杉下希美、安藤望、西崎真人、成瀬慎司。
偶然居合わせたかに見えた4人だったが、それぞれが幼少時代からのトラウマを抱え、そこから這い上がる夢を抱き、ある計画に手を染める。
すべてはNのためだった。。。

最初、単純な事件だったんですが、それぞれがモノローグ形式で語るという展開なので、そこからじつはという真実がみえてくるのがなかなか面白いです。
ひとりひとりの過去の状況が壮絶で、こっちまで身につまされるというか、うわ~ いるいるこういう大人といった感じで、今話題の児童虐待を的確な筆致で描いたからか、やけに真に迫ってきました。
帯に、「すごみを増す筆致」と書いてあるけれど、ほんとそんな感じです。
ただ、その割には、ラストがあっけなかったかな、と思いました。
こういったラストには、やはりもうちょっとブラックさが欲しかったかも。。。

新潮社 2010年1月発行 ★★★☆


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Secre

No title

四人の語りが少しずつ絡み合って出来事の全貌がだんだん見える。そんな感じの物語なんでしょうか。
やっぱりツメと言うのは難しいんでしょうねえ。

No title

1人ずつの視点から語るから、嘘をついていたりとかするのがわかって、そこのところの意外性が面白かったかも。こういった話はツメをブラックにしないとちょっと物足りないです。

No title

リアルに現状を本で伝えるのって1文に隠れてますよね!

No title

本当にいい文章って、いうのは1文読んだだけでわかりますから、そんな感じですねえ。

No title

4人の小さな悪意が結果的に… ってノリではちょっと単純かな?
Nって野口のN?

No title

単純ですけれど、単純じゃないのがミソなんですよ。Nは、野口もそうですけれど、希美と望に西崎と成瀬と登場人物全員がNなんですよ。

No title

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No title

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藤中

Author:藤中
好きな作家は、
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たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
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