〈クォンタム・ファミリーズ〉東浩紀

東浩紀はもともと批評家だったという変わり種のようです。
いままで人の小説をああだこうだといっていたのが、今度は逆にいわれる立場ということで、かなりのレベルの小説を書かないと叩かれてしまいそうで、これってなかなか勇気のある方だなと思います(笑)
でも、さすが、いままで小説を批評していただけに、読みやすさは只者ではないです。。。

売れない小説家の葦船往人は、元担当編集者の友梨花との結婚生活に限界を感じている。
そんなとき、往人のもとに、メールが届く。
そのメールは文字化けしていて読めなかったが、なんとかソフトを使って解読する往人。
なんと、そのメールは2035年から届いた娘からのメールだった。
だが往人と友梨花のあいだには子供はいない。
訝しく思いながらも、往人は娘と称する相手とメールのやり取りをするのだが。。。

なかなか面白い出だしなので、並行世界とか、量子脳計算機科学とか、訳のわからないもの(笑)を扱っているわりにはわかりやすい展開です。
どうも日本で1、2を争う文章力の村上春樹に似た作風だから、読みやすいのかもしれないなと思ってしまった。
批評家って好きな作家の作品を読みこんで研究するからか、その作家の影響が出やすいのかも。
だから、この本はその好きな作家?──村上春樹へのオマージュのような気もした。
村上春樹もそうだけれど、こういった話って、ラストに行くにつれ、いろいろとアラみたいなものが出てきて、結局、どうなってしまったのかわからなくなるのだけれど、どうもこれもそんな感じで。。。(笑)
でもこの本で、じつは村上春樹は「並行世界」を好んで書いていたということがわかって、妙なところに、おおっとか思ってまった。
そういえば今話題の〈1Q84〉も、もろに並行世界の設定ですね。
村上春樹はじつはSFを書いていたんだと、あらためて感じた次第です(笑)
しかし、この本も人気がないのか、私の後には誰も予約が並んでいませんけれど。。。

新潮社 2009年12月発行 ★★★
http://ecx.images-amazon.com/images/I/51fKrxSJJQL._SX230_.jpg
クォンタム・ファミリーズ
読了日:04月08日 著者:東 浩紀

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Secre

No title

小説の主人公に小説家を書くと言うのは、安直でしかも逆に細かい部分の出来を問われそうだけど、まあ批評家が書くなら説得力ありそうかも。
『ゲイルズバーグの春を愛す』と言う短編集に、古道具屋で手に入れた机の隠し場所から手紙を見つけ、縁談に悩む若い女性の独り言の手紙を見つけた青年が、ロマンチストならではのインスピレーションで返事を送る。と言う時空を越えたラブストーリーがあったりしました。
(結局とっくにその女性は亡くなっていて、それでも慰めることは出来た。と言うお話でした)

この調子だと、かなり叩かれてるかも。

No title

批評家さんにとってやっぱりそれなりの覚悟が必要なんですね

No title

自分で書いてしまうと今後は批評の仕事はやりにくくなりそうですね~(笑)

No title

イカダさん。『ゲイルズバーグの春を愛す』という短篇集のなかの話、なかなかロマンチックなですね。この作品はありえないはずの未来からの娘からのメールということで、もしかしたら自分に娘が生まれていた並行世界からの、という、なかなかややこしい話なので、アイデアは案外いいかもしれません。

No title

えこットさん。たぶんかなりの覚悟だっと思いますが、読みやすさはさすが、いままで小説を読んでいただけあると思います。

No title

びぎRさん。けっこうその前も書いているから、たぶん肝が据わっている人でしょう(笑) そういえば栗本薫氏も、中島梓名義で批評家と小説家の二足わらじでしたね。栗本薫氏は日本で一二を争う文章力だからこれも大丈夫だったのでしょう(笑)

No title

パラレルパラレルパラレル。。
ばっどさんのとこでなんかへんな歌聴いたからパラレルワールドを思い出しちまったい!
珍しいでしょ。昼間ちゅつぼつ。。眠たい!!

No title

パラレルパラレルパラレル。。。なにそれ?(笑)
昼間、この時間帯はやけに眠い時間ですよね。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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