〈花と流れ星〉道尾秀介

デビュー作〈背の眼〉の登場人物である、『真備(まきび)霊現象探求所』の所長、真備庄介と助手の北見凛、そしてホラー作家の道尾秀介の面々が活躍する短篇集。
〈カラスの親指〉以降、私にはどうもいまいちな作品がつづいて、道尾秀介離れに加速をかけていたんですけれど(笑)、この作品はデビュー作以来のおなじみのキャラということもあって作者自身に思い入れがあるのか(たぶん(笑))、キャラの厚み?というか良さで読ませました。
とにかく、ひとりひとりがいい味出していて、この登場人物たちが活躍する未読の〈骸の爪〉をぜひ読んでみなくてはと思わせる出来でした。

【流れ星の作り方】は、夜に買い出しに出た凛が、ラジオを聞く少年と会い、友達の家で起きた両親殺害の謎を解くという話。
これは実はどうやって殺したかということではなく、どうして気づかなかったのかということに焦点を置いた作品。
良く考えてみれば、いまどきラジオを大切に聞く少年なんて、そうだよな。。。(笑)
【モルグ街の奇術】は、真備と道尾が飲み屋で飲んでいると、フーディーニの孫だという、片腕の外国人が現われて2人に勝負を挑む。
その勝負とは、自分の右腕を消したトリックを当てたら、お金をすべてあげるけれど、解けなかった場合はふたりの右腕を消すということだった。
はたして真備と道尾は右腕を消されることなく(笑)、無事に解けるのか?
このあいだ、フーディーニの映画を観たので、なんていいタイミングだ~と思いました(笑)
で、百円玉を消すトリックって、いったいどういう風にやるの?といった感じのラストで、なかなかの読みごたえでした。
【オディ&デコ】は、捨て猫を家で飼おうとしていた女の子だったが、親にダメ出しされて、しかたなく捨てに行くことになる。
けれども次の日、心配で見に行くと、そこには血だまりが。。。
どうやら、仔猫はカラスにやられてしまったらしい。
その日から、女の子の周りで仔猫の影が見え始める。
子供のちょっとしたイジワルみたいなものでも、温かく見守る3人がいいです。
【箱の中の隼】は、ラー・ホルアクティという新興宗教団体を真備の代わりに見学することになった道尾。
そこで見た奇跡は、じつは。。。
これはひとつひとつの奇矯な行動にもけっこう伏線とか敷かれていて、ラストになるほどと納得させられてしまった(笑)
【花と氷】は、自分のふとした不注意で、孫を死なせてしまった男が、自分の工場である牧岡ねじ製作所で、子供たちを呼んで、「おたのしみ会」を開くことを凛が知り、真備と道尾を伴っていくことになる。
牧岡はかつて真備の『霊現象探求所』に訪ねてきたことがあるのだ。
工場に行くと箱が10個ほど置いてあり、子供たちは我先にと駆けつけようとするが、真備はそれにストップをかける。。。
なかなかシビアな話だけれど、後味はいい。
なによりも、真備の過去が垣間見える話で、これからこのシリーズを読んでいくなかでも、考えさせられそうです。

今回の短篇集は、道尾秀介のいいところが出たといっても過言ではないかも。
さらにキャラクターたちも深みが増したので、これからのこのシリーズも楽しみになってきました。
この調子で、他の長篇も書いてくれるといいんですけれど。。。(笑)


幻冬舎 2009年8月発行
★★★☆
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Secre

No title

そう言った怖い現象には、実際には起きてほしくないものです。

腕がないのはトリックじゃなかったりして。

No title

本当に腕がなくなってしまったんで、それをどう消したかというのが、100円を消すトリックと同じというんですが、いったいどうやったのかはいろいろ考えさせられるんですよ。もしかして自分で食べちゃったのかとか。。。(笑)

No title

未読の作家なので短編集から入るのが良いのかもしれません。チェックしておきます。
そう言えば子供の頃、親指が離れるトリック(?)やりませんでした?(笑)

No title

親指が離れるトリックはいちばん簡単にできるので、私も子供の頃によくやりました。あと握っている鉛筆が落ちないトリックとか。。。そういえば『真備霊現象探求所』は○田市にあるらしいです。近所にアヤシゲな事務所がありませんでしたか?(笑)

No title

リアルな体験ですね・・・

そうゆうことはあって欲しくないです

No title

「背の眼」は読んでいるし、人気作家の作品なのに、何故か予約が50ほどしかなかったので、列に並ぶ気になりました。

No title

流れ星の作り方。
タイトルどこかで聞いたぞ。
ぱくりちゃうかな。いいタイトルだから。
小説最近読まない僕でもしっている。。

No title

えこットさん。一見トンデモですけれど、辻褄が合ってしまうんですよ。でもこのシリーズはホラー落ちもありますが。。。

No title

めにいさん。ということは、と思って図書館を検索したら、うちは20人待ちでした。意外と人気ないですね。短篇は不人気なのかも。

No title

novel1dayさん。タイトル検索してみたら、あまりヒットしなかったので、ほかにはあまりないような感じもするけれど。。。?

No title

サクサクと読みました。
『背の眼』は内容はまだ少しは覚えているのに、主人公達をすっかり忘れていました(笑)
軽いタッチで実は怖い。主人公達の様々な面を、知ることができるという連作短編のよさが出てましたね。

No title

めにいさん。なかなか中身の濃い短篇でしたね。これ読んで、背の眼を読む人が多いようです。私もまだ骸の爪が未読なので、読まないとと思っています。

No title

内緒さん。本格ミステリ棚にありました。鍵はかけていないようですが、作家別からリンクしようとするとできないので、こちらは私のミスかもしれません。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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