〈犬はどこだ〉米澤穂信

米澤穂信の作風というと、〈季節限定シリーズ〉にみられる、どことなくつかみどころのない感じなんですけれど、その他の作品に限っていえば、けっこうこれといった色がないような感じを受けます。
といっても、色がないというのは、別に個性的でないというのではなく、似たような作品がないという意味ですが。
なので、1人の作家のはずなのに、違う作家の作品でも読んでいる気分になる。
これはもしかしたら、ある意味、凄いことなのかもしれないです。

犬捜し専門の調査事務所を開業したはずの紺野だったのに、舞い込む仕事は、孫捜しに、古文書の解読と、なかなかうまく?いかない。
途中から小中高の剣道部時代の後輩のハンペーもなかばむりやり調査員に加わり、それでも何も仕事がないよりはましと調べていくうちに、このふたつの調査がリンクをしていく。。。

ハンペーが調査員として加わらず、紺野だけがこの2つの事件を担当していたら、もっと早く解決できたかも(笑)
でも、孫捜しと古文書の解読の2つの調査がリンクしていくたびに、みえてくる事件の真相ということで、なかなか面白い展開です。
古文書に書かれた「谷中城」の由来というのを、失踪した人間に照らし合わせて、そこに真相を読みとるところなんかは、おおっ、なるほどといった感じでした。
じつはネットがらみのトラブルが原因のこの小説。
私もけっこう、何気なく書いているのだけれど、その記述から住んでいるところや職場などが割り出されてという展開に、ギョッとするとともに、ちょっと気をつけなくてはと思ってしまった。
でも紺野がチャットを通して相談をする、顔も住んでいるところも知らないネット友のGENさんをみるかぎりでは、ネットもそれほど捨てたものではないと思えます。
ありがたいことに私の周りのネット友も、このGENさんのような人たちばかりのようですし。
しかしギリギリ手前で、犯人に対してシラを切った紺野の行く末は。。。?
ここのところのブラックな結末は、ちょっと気になります。
http://a248.e.akamai.net/f/248/37952/1h/image.shopping.yahoo.co.jp/i/j/7andy_32007292
東京創元社 2005年7月発行
★★★☆
スポンサーサイト



コメントの投稿

Secre

No title

これは、最初の軽さに較べて後半の展開が意外でしたよね。この裏切りの感じがたまらない(笑)
ネットでの発言は、確かにいろいろとばれてしまうことがありますね。
最初は気をつけていたけれど、ネット仲間と友達感覚になってから、何でも告白してしまう傾向があります(笑)
でも、ホントは、誰がみているかわからない恐怖もありますよね。

No title

あの出だしでこうなるとは私もびっくりです。読めば読むほど不思議な作家さんですよね。米澤穂信は。
ネットはたしかにいろいろな人が見ているから、言動に気をつけて書かないとと思っていますが、あまり真面目くさっても面白くないですしね。私も過去に1人だけ来たことがありましたが、いきなり削除したら諦めてくれたみたいです(笑) これからもサイコな方が来ないこと祈ります。

No title

犬捜し専門で商売になるのかまず心配しちゃいます(笑)
ネットも結局人間同士なので実社会と同じように人次第なんでしょうね。
荒れてるブログとか掲示板とかを見るとそんな風に思います。

No title

犬捜し専門とか言って、ちゃんとした依頼が来るのが、この作品の売りなのかもしれません(笑) ネットだと顔が見えないから、悪意のある人はやり放題ですね。そのとばっちりだけは避けたいです。私の母はヤフー掲示板をみるのが好きで(笑)、いま五輪で注目の国母選手の板をみて、ちょっと可哀想などといっております。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
訪問者数
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR