〈さよなら妖精〉米澤穂信

もともと著者はライトノベル出身だったようで、ラノベ時代の作品を読んだ、「日常の謎の老舗の東京創元社」の眼に留まって書いたのがこの作品なんだそうです。
だからか、主人公たちの年齢も若いし、最初の出だしを読んだときは、ちょっとラノベっぽい匂いもしました(笑)

1991年、雨が降るなかを守屋と太刀洗が下校する道すがら、異国の少女が雨宿りをしているのに遭遇。
彼女の名前はマーヤ。
ユーゴスラビアから来たという。
2ヶ月間を一緒に過ごし、帰国したマーヤだったが、ユーゴスラビアでの内戦が激しくなり、音信も途絶えてしまう。
が、守屋たちは彼女の本当の故郷を知らなかった。
ユーゴスラビアはスロベェニア、クロアチア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニアと6つの共和国からなっている国だからだ。
守屋たちは当時の日記など、思い出すかぎりのマーヤとの会話から、彼女の故郷を特定しようとするのだが──

全体的に?拙みどころのない日常ミステリといった感じは、のちの〈季節限定〉シリーズに色濃く表れているように思います。
なによりも、太刀洗万智と小山内ゆき、のキャラが、かぶっているし。。。(笑)
でも、ラスト近くになって、この本の意図していることがわかり始めてくると、とたんにこの本が違ってみえる。
いままで、無意味な会話にみえていたものが俄然、意味をなして、色づいてくるといった感じでしょうか。
軽い感じの日常ミステリ、しかも?拙みどころのない謎(笑)と思っていたのが、ちょっとした悲劇的な小説へと早変わり、みたいな感じで戸惑いますが、こういった手法のミステリというのは、誰も書いた前例がないと思うので(たぶん(笑))、ちょっと新鮮に映るものもありました。
マーヤの故郷がユーゴスラビアのどこかというのは、ちょっと私には勘でわかってしまったのだけれど(そのまえに島田荘司の〈リベルタスの寓話〉を読んでいるので、もしかしたらと思っていたら、そうだった(笑))
ラスト手前に至るまでの展開が、ちょっと退屈だったのですが、ラストで、著者の企みというか、仕掛けというのが、隅々に張り巡らされていたということを知って、それまでの退屈だったものが、すっ飛んで行きました。
これって、終わりよければ、すべて良し、といったかんじでしょうか。。。(笑)
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創元推理文庫 2006年6月発行
★★★
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Secre

No title

すっかり忘れていて、藤中さんの記事を読みながら思いだしていました^^
島田荘司の御手洗潔のダンス、メロディと読んで、転げまわって笑ってます。すっかり嵌りました。「リベルタスの寓話」もチェックしますね。

No title

ユーゴスラビアってそうだったんだ

No title

めにいさん。印象薄いなかでも(笑)、なんとなく気になる展開なので、ついつい最後まで読んでしまう、というのが、米澤穂信の作品なのかも。「御手洗潔のダンス」は当時、何冊も買い込んで、友達に配った思い出があります。昔はバブルだったなと思います(笑)

No title

タヌキさん。ユーゴスラビアってひとつの国と思いきや、いろいろな国が寄り集まっていたんですね。私もこの小説で初めて知りました。かなり悲惨な内戦だったみたいですよ。

No title

途中まで退屈…私なら途中で読むのをやめてしまいそうです。
効果的な手法でしょうが両刃の剣でもありますね~(笑)

No title

退屈というか、ゆるい?(笑)日常ミステリを楽しむ話だと思っていたので、いまいちピンとこなかったのですが、ラスト近くになって、この小説の方向がわかってから、なるほど、そういうことかと。つかみどころのない作家です、米澤穂信は。

No title

少しあらすじが悲しいですね

No title

ライトノベルと思いきや、けっこう悲劇的なお話だったので、ここのところが意外性でした。

No title

こんにちは。恭美さんはラストでそれまでの退屈感がすっ飛んで行ったんですね。それはすばらしい。私は読み終えても青春小説というイメージは変わらず、読後感も少し欲求不満気味でした。ラノベ系はやはり苦手かも、と再認識した感じです。

No title

たしかにマーヤが帰国するときに、主人公が一緒に行こうとするところなんかは、とってつけたような感じもしました。ラノベ独特な人物像といった感じもしましたし。でもマーヤの国当てミステリ(笑)として読むと、目新しいかな、と思いました。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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