〈新参者〉東野圭吾

去年のミステリーベスト10の国内部門で、1位を独占した作品です。
あいかわらず、わかりやすく読みやすい文章なので、さすが長年の作家生活において、多くの人に支持されている人気者としての貫禄だな、とつくづく思います。
その後に読んでいる乱歩賞受賞作品(しかも東野氏が強くプッシュしている作品)が、うすっぺらにみえてしまうほど(笑)、今回は人情的なものを前面に押し出したようです。

煎餅屋や瀬戸物屋など、下町情緒色濃い日本橋界隈のマンションで、1人暮らしの40代の女性が殺された。
女性はこの街に引っ越して間もない新参者。
同じく日本橋署に着任したての新参者の刑事、加賀恭一郎がこの事件を解き明かすために奔走する。

「こんなことが出来ればと思った。でも出来るとは思わなかった」
と、著者が帯でいっているように、1篇1篇に人情的な結末をほどこした短篇からなる、なかなか工夫を凝らした長篇です。
こういった構成って、ミステリ的に、オイシイ展開って感じです(笑)
いや、もう、職人技といってもいいかもしれない。
こういった発想を思いついただけでこの小説は成功ですけれど、それをきちんと計算しつくして、ちゃっとしたひとつの長篇にしてしまうとは、やはり東野圭吾、只者ではない。。。(笑)
こういった仕掛けを楽しむためのものだからか、途中までの犯人捜し的な1篇1篇の話はなかなか面白かったけれど、けっこう犯人と動機は単純明快だったような気もする。
でも、この人がアヤシイと思いつつ、実はちょっとした人情話という、話の展開、そしてラストにかけて、じわじわと、犯人に焦点が合ってくるさまは、画期的だったかも。。。
この小説って、30分枠の全9話のドラマにちょうど良さそうです。


講談社 2009年9月発行
★★★☆
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Secre

No title

はや!!
私なんて、先日電車広告で、初めて知ったんですよ。もうずいぶん予約が入っているでしょうから、読めるのは来年ですね(笑)

No title

予約取った当初は、60人待ちくらいだったんですが、図書館に14冊も入っているので、回ってくるのが速い速い(笑) ちなみにうちの図書館はいま373人待ちです。あいかわらず凄い人気ですね~

No title

テーマの合った短編をあわせてひとつの長篇。
そう聞いただけでも力量が想像できますね。

No title

東野圭吾に人情話ってのもちょっと意外な感じがします。
新境地を開拓して直木賞受賞後も乗っているみたいですね。
9話の構成はドラマ化狙っているのかも(笑)

No title

わかりやすくよみやすい!

ウーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。
それが大切ですね。。
ふう。。
悩み多き年頃です。まだまだ若いか。。

No title

やはり只者ではないのか。。。

No title

イカダさん。短篇を1つの長篇ということで、これはちょっと職人技でした。うちの図書館予約数3位なので、さすが人気者って感じですね。

No title

びぎRさん、たしかに東野圭吾の人情話って珍しいですよね。そこのところもいつもと違って目新しかったかも。NHKあたりが狙いそうな話です(笑)

No title

novel1dayさん。わかりやすくよみやすいが、文章を書く上でたぶんこれがいちばん大切ですね。イコール、それが人気作家になっていく条件って感じです。

No title

ばっどさん。まだあまり売れていない初期のころの本格ミステリを読んでいたときから、私は思っていましたが。。。(笑)

No title

こんにちは。記事にいちいち同感です。ミステリを堪能するというよりは、人情話の暖かさや、一話完結の短編形式を繋げて一つのドラマを見せるという構成の面白さを実感できる作品ですね。
ほんと、映像化を念頭に置いたような作品です。そのうち連ドラになるのでしょうか。そうなると加賀刑事を誰がやるのかすごーく気になります。

No title

こういった形式を考えて、それがちゃんとした文章になったとき、東野さんは、おそらくはガッツポーズをとったでしょうね(笑) 自分で自分を褒めてあげたいとかいって。。。(笑) 映像化は、ちゃんと9分割になっているので、やりやすそうですね。きっと、いま、あちこちのテレビ局で映像化の申し入れをしていて混戦状態かもしれませんね。。。(笑)

No title

読みやすそうな表紙ですね

No title

中身はほんと読みやすいですよ。
なかなか面白いので万人の方にお薦めです。

No title

アマゾンで古本を購入して読んでしまいました。
さすが藤中さん、テレビドラマ化を予測していましたね。
本当にドラマ化のために書いたのかと思うくらい適していますね。

No title

図書館予約はドラマ化してからまた凄い勢いになってますしね。ちゃんと1話完結になっているので、脚本を書く方もやりやすいかもしれませんね。

No title

今度これ読んでみよ~。

No title

これはかなりお薦めです。これ以降、力尽きたのか(笑)、失速めいた話が多いですけれど。。。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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