〈悪霊の島〉スティーヴン・キング

あいかわらず長い小説を書くのが好きなキングには、読むほうはほんと大変!という感じだけれど、今回のはけっこう読みやすかったので、図書館予約本攻撃が激しくてもなんとか読みこなせたみたいです。
ブラム・ストーカー賞の2008年度最優秀長篇賞を受賞したようだし、そういえば、このあいだ、発表された週刊文春ミステリーベスト10の海外部門の7位に入っていましたしね。
ま、同じ文藝春秋刊だから、ここのところはちと甘い感じもするけれど。。。

事故で右腕を失ったエドガーは、脳の障害も負ったために、後遺症で自分が制御できなくなるといった事態に陥り、怒りや暴力などをふるうようになる。
その結果、家族と不和になり、妻との離婚を契機に、ひとり、孤島に住むことになる。
フロリダ州に浮かぶ孤島、デュマ・キーの別荘に着く早々、絵を描きたい衝動にとり憑かれ、作品を次から次へと描くエドガー。
だがその絵は、エドガーの知らないはずの、妻の周りで起きていることをも描いたりと、超自然的な力を秘めていた。
そんなとき、島に住む資産家の老女、エリザベスとその介護をする男、ワイアマンに出逢い、この島に住む悪霊の存在に気づいていく。。。

絵を描いて、過去の出来事を知ったりと、どうもエドガーの絵の才能はデュマ・キーという孤島だけの限定品ということが、じわじわとわかってきます。
なので、絵を描いて現実の出来事をいいように変えたりということも可能になり、ちょっと「ダーク・タワー」シリーズのラストに出てきたパトリックを彷彿された感じかも。
でも全体的なストーリー展開は想定内の感じなような気もした。
絵が邪悪なものを秘めていると知ったエドガーが絵を買った人物を思い出して、焼き捨てろと電話をかけるのですが、肝心な自分の娘にあげたことを忘れてしまっているのには、ちょっとという感じでした。
というのも、私は真っ先に娘にあげたことを思い出したもので。。。(笑)
ここのところ、キング、わざと後回しにして、オイシイ場面を作ったな~という感じで(笑)、早く思い出せばいいのに、と読んでいて思ってしまった。
ラストはちょっと、しんみりきて、さすがキングといった感じでしたが。。。
本国での新作『ドームのもとで』、は超自然的な「ドーム」にすっぽりと覆われてしまった街での地獄絵図的物語ということで、何やらまた長そうな気配です。
でも、わくわくするような設定なので、いまから翻訳が楽しみです。


文藝春秋 2009年9月発行
★★★
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Secre

No title

邪悪な何者かを封じ込めたい誰かが、隻腕の傷ついた男に望みを掛けた?

おそらくは害をなそうとした悪霊が、結局父と娘に絆をもたらした?

絵に表れる謎と鍵と言うのは、いいアイデアですね。老女は悪霊の関係者ですか?

No title

イカダさん。1行目のコメントはなかなかいいところ突いているかも。。。老女は過去に、知らずに悪霊と関係してしまったおかげで、身内を失った方です。悪霊は恐るべし。。。

No title

私がキングに到達するには、まだ5年くらいかかりそうですね(笑)。。来年は、マシスンです。
キングって本名なんですか?あまりにぴったりな名前過ぎる・・・

No title

たしかキングの本名はリチャード・バックマンだったような。。。「痩せゆく男」とかは日本でもこの名前で出してます。マシスンの古い本は図書館にないんですよ(涙)

No title

よ!来ましたね~!キング牧師!

長編ですねえ、彼は。
読む時間が欲しいなあと思う。大体昔はほとんど読んだんだけどね。
ホラーって小説にするとおもしろいけど、映画にするとコケルパターンが多い。 まあ、キングだったら原作者のネームバリューで客寄せできるけどね。悪霊島か。絵は潜在意識を表しているから、なんか色々謎をひっかけたり、背景の驚愕の事実を色んなメタフォリカルな具象で描いたりできる。あいかわらずキングは怖い視点を見つけるのが上手いね。まあ、そんなところかな。

No title

なんか横溝正史みたいなタイトルですよね(笑) でも、キングの小説はやっぱりキングという感じです。キングは初稿を書いてから二稿、三稿と削る作業をする人なので、初稿はもっと長いのかな、なんて思ってしまいます。

No title

孤島限定ということは地縛霊みたいなやつなんでしょうか?
その島で過去に何かあったというパターンが思い浮かびますが、ひとひねりあるんでしょうね。

No title

そのまんま、その島で過去に起きた何かがというパターンですね。なので、展開が見えてしまったので、私にとってはいまいち盛り上がりに欠けたかも。。。何かひねりがあればよかったのですが。。。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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