〈追想五断章〉米澤穂信

最近、ミステリ界では、道尾秀介の次くらいに、一押しなのが、この米澤穂信ではないか、私はこっそり思っています(笑)
でもまだまだ知名度がないのか、ブックオフでは、意外と中古品が出回っていない作家であります(最近、ブックオフに出回っている本で、売れ筋かそうでないとか、面白いか面白くないとかがわかってきたりする。ちなみに面白くないは、続きものなのに1巻だけがやけにいっぱいあったり、上巻がいっぱいあるのに下巻がないとか、です(笑))
「春期限定いちごタルト事件」(これだけはブックオフに多く出回っている)で、つまずいた人は、これなんかから読むと、また見方が違ってくるかも。
230ページとそれほど長くないんですが、緻密に練られたストーリー展開で読ませます。

父親が死に、学費が払えなくて大学を休学し、伯父の古書店で働かせてもらっている芳光の許に、ある日、北里可南子という女性が訪ねてくる。
亡くなった父親、叶黒白が書いた五篇の短篇を捜しているというのだ。
その小説は、いわゆるリドルストーリーという、結末を書かないで読者にゆだねるといったもので、その結末だけを書かれた原稿は、可南子が持っているという。
大学に復学できるほどの高額の依頼料に惹かれて、芳光はその依頼を引き受けることになるのだが、次第に可南子の父親が妻殺しの疑惑を受けたという「アントワープの銃声」の存在を知ることになる。

同人誌に載せたらしい、叶黒白が書いた五篇の短篇を見つけるといった発想が面白いし、その短篇から、叶黒白が妻を殺したか、そうでないかがわかるという緻密な構成も唸らせます。
本格ミステリ的には、とりあえずは予想通りだったので、意外性とかはないんですけれど。。。
それでも終始、落ち着いたというか、雰囲気のある文章で描く世界は、案外、私の好きな世界かもしれないです。

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Secre

No title

藤中さんの好まれる文章。みな、人によって読みやすさというものは違いますね。
私も古本に行きますけど、確かに一巻が数多く売られているのを見かけます。確かにそういう理由なのでしょう。もし、自分が作者であるならばその光景はショックかもしれません

No title

ふるほんやさん大好き♪

妻を殺してそのことをお話に書く・・・・大胆と言うか、マヌケと言うか。
でも創作として物凄くショックなことを書いて、リアルと思われるのってさぞかし嫌でしょうねえ(それだけ真に迫ってると言われたら複雑かも)

No title

米澤穂信って、謎の作り方が上手いですよね~
これが最新刊でしょうか?
私は予約の少ない所から攻めたので、『インシミテル』『儚い羊たちの祝宴』とこの本が残ってます。
楽しみですね~~

No title

こんにちは。米澤穂信って道尾秀介の次くらいに一押しなんですか。1冊だけかじって期間が開いてしまっている私は、かなり出遅れてるってことですね。でも、考えてみるともともと文庫派だから、出遅れ度は数年単位なので、いまさらという気がしないでもないですが。(苦笑)
イチゴタルトじゃないですが、最初に読んだ1冊で躓いてしまいました。。。

No title

タヌキさん。五篇の短篇を捜して、それでかつ謎が解けていくという、地道な?アイデアに脱帽でした。一巻だけ多い本、上巻だけ多い本。たしかに作者はショックだろうけれど、その作者もそれがいったいどういったことなのか、少しは考えた方がいいのかも。ちと辛辣な言い方だけど。。。

No title

イカダさん。古本屋、私も最近、毎週、通っています。癖になりそうです。

さすがにそのものズバリは書かないんですが、その当時の疑われた心境などをなんとなくわかるように書いたという感じです。その男は妻を殺したかどうかは、そこは本格ミステリなので、いろいろと謎解きがあるんですよ。

No title

めにいさん。「いちごタルト」のようなライトノベル風と、「儚い羊たち」のような懐古風?など、いろいろな作風で読ませますね、米澤穂信は。
これは最新刊です。うちは予約が少ないので(笑)、早めに回ってきました。

No title

さにーさん。私の中ではそんな感じです。「いちごタルト」は微妙な感じでしたけれど、米澤穂信は「儚い羊たちの祝宴」から入っているので(これはちょっと私の中で、おおっと来るものがありまして。。。(笑))、なんとか続けて読んでいます。いろいろな感じのものを書かれるので、作風がけっこう広いのかもしれません。

No title

内緒さん。そうそう。その答えはかなり核心をついています。
いろいろと謎めいた人物が出てきますんで、この小説はなかなか曲者のようです。
でも最終的には、私の読んだ通りの犯人でしたが。。。

No title

小説内小説が5つも出てくるとなるとかなり複雑ですね。
しかもそれがリドルストーリーとなると慎重に読まないと混乱しそうです。

No title

たしかにその結末がない短篇が、可南子の持っている結末だけを書いた原稿と組み合わせると、いろいろと違った結末になるので、その結末次第で作者が妻を殺したかそうでないかも違ってくるので、よけい混乱するかもしれないです。でも、これって面白い企みですよね。

No title

ふうむ。展開が読めても、味わいのある文章構成なんでしょうね。そうゆうのも好きですね。同人誌の短編から実際に起きた殺人事件を探り当てるのですか。ふうむ。なんとなく予想はつきそうだけど、きっちりと書いているでしょうから面白いんだろうね。
あ、4時だ。もう寝ます。その5編の短編もおもしろいんだろうね。犯人が挑戦してくるみたいな感じかのかな。

No title

展開が読めても、発想が面白ければ、ぐいぐい読ませますよね。この小説はちょうどそんな感じでした。犯人を挑戦という感じではなく、さりげなくといった感じでした。

No title

読みました。
これは、米澤穂信の作品の中でも一番じゃないでしょうか?
本当に緻密に作られていて、2度3度と読み返しても楽しめました。

No title

米澤穂信は、毎回違った作風にチャレンジしているというか、新しいものを創るんだという意気込みがあっていいですね。私もじわじわと過去の作品を読んでいきたいです。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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