〈こうして誰もいなくなった〉有栖川有栖

作家生活30周年ということで〈有栖川小説の見本市〉と帯で謳われている本書だけれども、確かにミステリに限らずファンタジーぽいものからホラーものとか様々な短篇が楽しめるつくりになっている。
中でも、アリスが列車に乗って別の世界にさまよう「路線の国のアリス」は、著者の鉄道趣味が爆発したような作品で、そこに不思議な国のアリスな物語をはめこんでという著者が愉しんで描いたような作品で、読んでいるこっちまでもがなかなか楽しめた。
自殺志願者たちが行きつく先の「劇的な幕切れ」は、読み手の考えのもう一歩先を行っているところが意外性があった。
迷路で目覚めた女性が出口を探してという「出口を探して」は、「CUBE」な感じでこういったの好きにはたまらない話、ただオチが、ちょっと、ね、という感じだったけど、そこも普通にまとまらなくて良かったみたいな、なんとも不可思議な読後感を持つ話だった。
そして表題作の中長編といって良い「こうして誰もいなくなった」は、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」のパスティーシュのような話。
「そして誰もいなくなった」は有名な話だから(初めて読んだときはやられた感が凄まじかった)、これをヒントにこうも出来るという著者の挑戦的な感じかもしれない。
こちらも読み手の一歩先を行ったラストがなかなかでした。
ある意味、反則っぽい感じもするけどね。。。

2019年3月発行 株式会社KADOKAWA ★★★☆
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Secre

No title

パスティーシュ・・・って?
タイトルからだいたいわかる感じですね・・・・^^;)

No title

> toll-npcさん
模倣だけれど、そこは本家を意識しながらも違う方向へという感じです。確かに誰もいなくなっちゃうけれど。。。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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