〈黄昏の彼女たち上・下〉サラ・ウォーターズ

サラ・ウォーターズの描く作品は独特の世界観があって思わず引き込まれてしまうのだけれど、これもそんな作品。
イギリスを舞台に1922年という時代を描いていて、没落した上流階級である26歳の女性フランシスが、自身も住む屋敷の2階を若い夫婦に貸し出すことから起きるミステリー。
上巻は禁断のラブロマンスという感じで、しかもサラ・ウォーターズらしく女×女だけれど、下巻はミステリー仕立て、しかも裁判も入るという展開。
古い時代のラブロマンスが入ったミステリーの場合、男×女というのはわりあい展開がわかりやすいのだけど、女×女の場合はどういった着地点になるのか先が見えないのがいい。
しかも古い時代となると、なおさら。
そこのところの着眼点の新しさというものがこの話の面白いところなのかも。
後半は殺人という要素も入ってきて、にっちもさっちもいかない切迫感に読み手が苛まれます。
別に今の状況のままでいればいいのにと読み手は思いますが、主人公たちは暴走してしまいます。
亭主元気で留守がいいと、どんと構えて、亭主がいない間に不倫でも何でもすれば、経済的にも良い感じがしますが、そういった発想ではミステリー小説にならないのかもしれない(笑)
でも主人公たちが不倫している割には妙な正義感があって、そこのところがちょっとだけイラッときますね。
ラスト、女×女の要素はミステリーの手段だと思っていたら、そうでもなかったみたいなので、そこのところが肩透かしな感じもしましたが、読ませるミステリーは健在ということでまずまずな決着なのではないかと思いました。

2016年1月発行 創元推理文庫 ★★★☆
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Secre

No title

ラブロマンスが入ったミステリー、面白そうですね!
ぜひ読んでみたいです。

No title

> Puffさん。
ハーレクィンに文学がかっちゃった感じです。なかなか面白いので読んでみてくださいね。。。

No title

むかーし「半神」?だったか??読んだ記憶ありですね
流麗な(翻訳もよかったのか?)文章だなあ・・・と

ミステリ・・・というかラブロマンス犯罪小説・・・だったかな^^;)

No title

> toll-npcさん
いま記事確かめたところ半身だったみたい。。。
2006年の記事だからちょうど10年前のようで。。。
つい最近読んだ気がしてるんですが。。。
月日の経つのは早いです。

No title

おお!
自分がブログ始める前ですねえ・・・・^^;)
読んだのもその頃かな?

No title

> toll-npcさん
私はそのころにはなぜかブログ始めていました(笑)
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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