〈職業としての小説家〉村上春樹

自伝的エッセー集ということで、村上春樹氏がどのような経緯で小説家になりその小説家を今までずっと続けてきたか、そしてどういった小説を書いてきたかという内容。
キングで言う「小説作法」のような内容かもしれない。
それがかなりの図書館待ちなのだから、恐るべしというところかも。
で、本書を読む限りでは、村上氏の人生はやはりありきたりではない感じ。
普通、大学を出てから会社勤めて結婚という順序なのに、村上氏の場合はまずは結婚してから、ジャズ・バーをやって、それから大学を卒業ということになる(笑)
小説家になるきっかけも、神宮球場のヤクルトの試合を見に行って、ヒルトンという選手が二塁打を打ったときに突如として「そうだ、僕にも小説が書けるかもしれないと」思うわけでまるで小説のよう。
それで最初に書いた小説でデビューをしてしまうわけだから、やはりこのとき何らかの啓示を受けたとしか思えない。
小説を書くことに対しての真摯な態度に、本当にこの人は小説を書くことが好きなんだな、と思わせる。
当初、かなりの批判を受けながらも、それをすべて肥やしにしていく考え方に読んでいて、やっぱ凄い精神力の持ち主だと思ったりした。
それもこれも今できうる限りの力を持って小説を完成させるという、タフな考えに尽きるのかも。
あの読みやすい文体はかなりの推敲に推敲を重ねているんだろうな、と私も思っていたのだけれど、実際はかなり細かく納得いくまで時間をかけてやっているみたいな感じ。
デビューして三十五年、小説を書くのは楽しいと言ってのける、村上春樹氏はやはり最強かもしれない。

2015年9月発行 株式会社スイッチ・パブリッシング ★★★☆
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コメントの投稿

Secre

No title

楽しいと言うところだけは、そのとおりだと思います。

No title

> イカダさんも最強だと思います。。。(笑)

No title

彼の文章は読みやすくて心地良いですやね。少し回りくどいですが、チャンドラーの影響もあるのでしょうね。いささかドラマトゥルギーを付与したエッセイのような気がしないでもないですけれど、精密に彫琢された文章を楽しむだけでも購入した価値がありました。

No title

> チルネコさん
文章の読みやすさにかけてはピカイチだと思っていたので、やはりな感じの念の入れように職人気質を感じました。今書けるだけのものを出し切る執念でしょうね。まだまだ眼が離せない感じがします。

No title

ヒルトンってなんか覚えていますよ!
バッティングフォームに特徴がある選手だったような気がします。

No title

> びぎRさん
ちゃんといたんですね。。。
外人選手はクロマティとかバースくらいしか知らないかもしれない。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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