〈キャサリン・カーの終わりなき旅〉トマス・H・クック

今年は読む翻訳ものの当たりが多かったために、それに味をしめて次から次へと図書館予約を取っているのだけれど、翻訳ものってあまり人数が並んでいないから早く読めるのも嬉しかったりします。
こちらの本も2月刊で、並んだ当初は2番目でしたし。。。
トマス・H・クックはかなり有名ですが、これまで読んだことがなかったので、パッと目にしたタイトルに惹かれて、これを機会に読んでみることになりました。

7年前に8歳の息子を殺されたジョージは地元で新聞記者をしている。
ある時、酒場で会った失踪人捜査課の元刑事アーロウから、小説を残して失踪した詩人キャサリン・カーの存在を知ることになる。
ジョージは取材で知り合った早老症のアリスと共に、残した小説を手掛かりにキャサリン・カーの行方を捜す。
けれどもその小説は奇妙な話で2人は戸惑う。。。

さすがベテランの筆致で、読ませる読ませる。
この本の冒頭を読んでからちょっと用事があって出かけたのだけれど、早く続きが読みたくてとっとと用を済ませて帰ってくるほど、この本の吸引力は凄かった。
こういう、早く帰って読みたいと思わせる本は滅多にないかもしれない。
構成、語りが絶妙に上手いし、じっくり味わって読みたいという気にさせられる本なことは確か。
ミステリーとしての出来は賛否両論ありそうでそれほど高くないかもしれないけれど、新しいジャンルの小説として読めば面白いし、ある意味、到達点かもしれない。
しかもアレ(笑)なのに、キャサリン・カーの行方や息子を殺した犯人までもがきちんとわかるようになっているからそこのところはちゃんとミステリーの分野を意識しているという感じかも。
そして、さりげなく出てくる犯人の指摘も上手い。
印象に残るエピソードで読み手にぼんやりと覚えさせ(笑)、思わずあっと言わせる。
まるでセローの「極北」のようできちんとその人物を特定するにはもう一度、読み返さないといけなかったけど(笑)
ラストはミステリーとファンタジーの境界線で、一歩間違うと危うい話になってしまうけれど、そこはベテランのワザの見せどころといった感じで、それほど危うさはない。
いや、むしろ、私好みかも。
こんな終わり方の小説もたまにはいいんじゃないかと思ってしまった。

早川書房 2013年2月発行 ★★★★☆
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コメントの投稿

Secre

No title

こんばんは。
ホント、帰って早く読みたいって本はなかなか巡りあわないですよね^^
図書館チェック、してみます。

No title

トマス・H・クックは1999年から2003年に記憶シリーズとか3冊読んでいます。
内容はすっかり忘れてしまいましたが評価は高くつけてましたよ(笑)
なかなか凄い星の数ですね。満点一歩手前?
アレがどうアレなのか気になりますね~

No title

Puffさん。この、読み手に読ませるというのがベテランのなせるワザなんでしょうね。
図書館、要チェックです。。。

No title

びぎRさん。記憶シリーズも良さげですね。ちょっと初期の本に手が出したくなるような感じでした。本書は他の方が読んだら、普通なのかもしれないけれど、ちょっとしたダークファンタジーな設定も絡んでいて私には満点の次くらい好みでした。

No title

ミステリーの素地を残しながら新しい分野ですか。まさにノベルですね笑。藤中さんが相当に褒めている様子から考えると、読んだほうがいい?

No title

ノベルさん。好き好きがあるから何とも言えないけれど、ミステリーにダークなファンタジーな結末が許せるなら、お薦めです。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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