〈消えゆくものへの怒り〉ベッキー・マスターマン

ベッキー・マスターマンは犯罪捜査用医学書(!)の編集者で、この作品がデビュー作だそうです。
私が図書館予約をとるときは、だいたいが好きな作家の新作や、あとは書評で取り上げられて絶賛されたのを予約することが多いのですが、たまにタイトルだけで予約をとるときがあります。
この作品もタイトルで予約をおさえたクチです。
こういうことを考えると、タイトルって大切かもしれませんね。

FBIを退職して、夫と共にのんびり暮らすブリジッド・クインの許に、あるとき一報が入る。
7年前に、若い女性が犠牲になった「ルート66連続殺人」の犯人が捕まったのだ。
ブリジッドは、この事件のおとり捜査で、自ら仕込んだ女性警察官が失踪という憂き目に遭い、それをいつまでも気に病んでした。
この女性警察官の遺体も無事に見つかり、誰もが犯人逮捕に浮きたっていたころ、1人のFBIの女性捜査官ローラ・コールマンがブリジッドに告げる。
もしかしたら、犯人ではないのではないか、と。。。

いや~ この怒涛の展開、かなり面白いです。
最初に危機一髪的な場面で引いて、過去に戻る構成力が見事で、思わず先へ先へと読まされてしまいました。
ここのところの女性の筆力らしい細やかな描写が上手いと思いました。
そして色々と事実に近づきある、引退した、59歳のおとり捜査官が怒る場面は、大盛り上がり。
周りにいる何もかもが敵にまわって、ひとり孤独になりながらも、怒れる年配の女(笑)──ブリジッド・クインの凶暴性は惚れ惚れするほど、すさまじいです。
ただ、ラストの犯人との対決後の、ダラダラ続く話にせっかく盛り上がった展開が台無しにしてしまったようで残念でした。
ここのところ上手い具合に、さっさと余韻を残して終わらせてくれれば、星が4つ付いたのにと思い、でもデビュー作だからしょうがないのかな、などと考えてみたりもしました。
「ハッピーエンドの終わりを信じるのは、浅はかで愚かな者だけだ」
自分で書いておいて、え~い!(笑)

早川文庫 2012年12月発行 ★★★☆
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コメントの投稿

Secre

No title

うん、ハッピーエンド派ではないので。。。でもダラダラ続けるのは、いかんなぁ。。

No title

私も昔はタイトルで本を買ったり、借りたりしていたんですが最近は色々情報を集めてからですね~
こうすると確かに手堅いんですけど、面白味は欠きますね。

No title

ドラマをふんだんに盛り込んだ感じですね。
ブラックは無糖です。起承転結ですっぱり終わらせたくない何かを残したい感じで長いのかなあ。

No title

ばっどさん。せっかくハッピーエンドじゃない終わり方だったのに、ダラダラ続けたおかげでハッピーエンドになってしまいました(笑)

No title

びぎRさん。タイトルプラス予約がないのを選ぶからか、案外、手早く読めるメリットがあります。なので最近、無名の海外の作家さんを読む率が多くなっています。

No title

ノベルさん。海外ものの場合は翻訳が悪いと、何が書いてあるのか判らないことが多々ありますが、これは読みやすかったので、そこのところの得点が高かったです。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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