〈名被害者・一条(仮名)の事件簿〉山本弘

タイトルと出版社からして、いつのまにかミステリに転身したのか、山本弘と思ったのだけれど、表紙裏の著者のことば「奇妙な属性を持って生まれてしまった女の子の、平凡でゆる~い日常のお話」ということのようで、ちょっと安心しました(笑)

普通の女子高生の一条(仮名)は、過去に何十回も殺されかけるという、奇特な体質の持ち主。
いわゆる「名被害者」と呼ばれる存在。
そんな彼女が語る事件を、幼なじみでお兄ちゃんと呼ばれる存在の、僕が聞く。

この世の小説には多くの「名探偵」がでますが、「名被害者」というのは珍しいというか、今まで読んだことがないので、それだけでも目新しいかも。
登場人物も仮名なので、そこのところもなかなか考えたものになっているし。
しかも内容はミステリ好きならば、抱腹絶倒の面白さ。
とくに2話目のミステリ研の部長が書いた小説には、ゆるしてえ~と思うほど、腹抱えて笑った。
高校生で小説書いて、投稿して、一次予選で落ちる文章力が、これ以上ないほど上手く表現されていて、もう、死にそうになるほどでした。
こういうことは上手いですよね、山本弘は。
あと、山本弘とくれば、美少女の描き方が絶妙ですよね。
一条(仮名)のキャラも例外ではなく、妙な魅力を放っています。
ただ、4話目まではミステリなコメディで現実路線だったのに、5話目でちょっちSFになってしまったのは残念な気がした。
4話までの現実世界というか、このままミステリな世界で終わらせてほしかったような気もする。
ま、このまま畑違いのミステリで終わらせたら、ミステリ畑からの非難轟々が怖かったので、SFに逃げたのかもしれないけれど、5話で1話の事件の解決をミステリで出来れば傑作だっただけに、残念でした。

講談社ノベルス 2012年4月発行 ★★★☆

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51CWN%2BgCR5L._SL75_.jpg名被害者・一条(仮名)の事件簿 (講談社ノベルス)
読了日:05月18日 著者:山本 弘

読書メーター
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Secre

No title

藤中さんが読んでいると読書メーターで知り、さっそく借りました。まだ読んでいないけど、そこまで面白いなら一気読みできる時間帯を作らなくては!!

No title

めにいさん。いい意味でミステリをおちょくっていて(笑)、そのおちょくり方が的を射て面白いです。山本弘はミステリも行けるんじゃないかと思ったんですが、ラストSFに回帰してしまいました。

No title

それで名被害者ですか。考えたものです。

No title

イカダさん。それで名被害者なんです。ミステリの隙を突いた作品です。

No title

バカミスとバカSFのハイブリッドって感じでしょうか?
名被害者である理由がこの作者得意のこじつけで説明されるのでしょうね。
面白そうです。

No title

名被害者ですか(笑 またまた図書館でチェック!

No title

この人、おもしろいSFをいろいろ書いているみたいですね。筒井康隆とは毛色が違うのかな。どうもSFと言えば星氏と筒井氏とかんべむさし氏ところで僕の中では停まっています。かんべさんの「カンタン刑」は好きだった。山本ヒロシ。どうもこの人は抵抗感がある。名被害者というアイデアは、単に反対概念から安易に思いついただけのような気がします笑

No title

びぎRさん。ツボにハマれば、死にそうになるほど笑えます。名被害者である理由は微妙にない感じですが、名被害者のラストは結局、著者本人のいちばん希望に沿う終わり方なんじゃないかと思います。

No title

Puffさん。被害者に「名」もない感じですけれど、何べんも殺されかけるとさすがに名被害者かな、と(笑)

No title

ノベルさん。山本弘の書く女性キャラはどのキャラも魅力的で上手いです。ただあんまり萌えが入ると、私なんかは「う~ん」な感じもありますが。。。SF的にはそれほどハードな作品ではないので、私なんかはとっつきやすいです。なかなか傑作を書かれていますよ。

No title

はあ~なるほど。「萌え」ですかああああああああ。。
カバーイラストからとっつきにくい感じを受けていたのですが、
臭いポリバケツのフタを開くような手つきと顔つきで開いて読んでみます。とりあえず、「名被害者・一条(仮名)の事件簿」。。
ちょっとキツイ書き方ですみません。それぐらい「萌え」は強磁石の反発よりも接点を持たないようにしていたから。

No title

ノベルさん。でも「萌え」というのは、良い意味ではキャラを立たせることが上手いということだと思います。なので、こういう観点では、勉強になりますね。もちろん「萌え」要素だけでは、読者には受け入れられませんから、ストーリーも上手いのだと思います。

No title

こんにちは。面白そうですね~。名被害者なんて、逆転の発想ですね。未読の作家さんなので、ちょっとググってみたらSF系の作品を書いていらっしゃるみたいですね。と学会の会長さんだとか。。。作品もですが、作家さん自体面白そう。読んでみたくなりました。早速チェックリストに加えます!

No title

さにーさん。名被害者というアイデアだけでもう成功って感じです。展開もミステリのいいところを突いてきます。ただSF畑の人なので、謎ときにはならないのが残念と言えば残念ですが、割り切って読めば、というところです。

No title

最初、あまりに若向きに作られた文章に引きましたが、慣れたらぐいぐい読めました。
そして最後の展開。なるほどね~著者らしいなあと思いましたよ。

No title

ブログデザインを一新しました。大いに変わったから見にきてね☆
山本弘の「神は沈黙せず」の読書感想文をあげたけど、感想文になっていないから、読まないほうがいいです。
それから、川端康成のノーベル文学賞受賞を記念した三島由紀夫と伊藤整との対談の秘蔵映像を見つけた。こいつはびっくりだ。
よかったら見てね!
確かに萌えだけでは、腐女子が好むだけの世界。ただストーリーを読むまでには至らず。藤中さんの紹介する本は図書館になかった。山本氏はあんまり置いてなかったよ。他の図書館も探してみる。

No title

めにいさん。表紙どおり若者に向けた話なんでしょうが、読みやすいですよね。ラスト、あの展開にならないと山本弘じゃないですしね。ま、ミステリ路線も変わっててよかったですが。。。

No title

ノベルさん。ブログデザイン、一新しましたか。私の場合は背景くらいしかかえることがないのだけれど。。。とはいえ腐女子もいまはかなりシビアですよ。ストーリー展開のつまらないのは、放置プレイ(笑)になる運命ですからね。どこの世界も読者をひきつけるために大変です。

No title

腹抱えて笑える小説の文章を絶妙に書ける人って素晴らしい!それだけで読みたくなりました。

No title

タバさん。この作品はすべての物書きに読んでもらいたいシロモノです。いや、物書きだからこそ受けると思います(笑)
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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