〈四龍海城〉乾ルカ

最近、いちばん気になる作家になってきた乾ルカ。
一見、ファンタジーな設定なのだけれど、1本しっかり筋の通ったミステリなところもあって、不思議な位置にいたりします。
この独特の、嘘な世界を本物っぽく構築するワザと言うのは、最近の作家の中では、ずば抜けているのではないかなと思ってます。

夏休み、吃音で悩む健太郎は、ある時、近づいてはいけない海辺の塔、四龍海城に近づいてしまい、「さらわれ」てしまう。
その中には健太郎と同じ、「さらわれ」た人たちがいた。
無気力になった人は、「城人」として、2度とここから出られなくなり、「出城料」を持った人だけがここから出て行ける。
健太郎は同じ年頃の少年、貴希とともに、「出城料」を探すのだが──

またまた不思議な世界です(笑)
でも先の読めない展開に、わくわくして読むことが出来ます。
海に立つ塔に近づくと、行方不明になるなら、普通、警察が乗り込んでしまいますけれど(笑)
警察をも介入させない、毅然とした設定。
読み手にこういった世界だと、作り事の話をここまで信じ込ませる筆力は相変わらず素晴らしい。
今回、ファンタジーな世界なのにもかかわらず、科学的なカラクリもあって、しかもそのカラクリが「ニュートン」の特集を読んでいたな、と思わせるカラクリで。。。(笑)
メインの「出城料」はなるほどといった感じで、ラストもハッピーではなく、なかなか苦いものがあるけれど、それが逆に美しい余韻を残したりした。
次の作品も、誰も描かないような世界に読者を引き入れてほしいものです。

新潮社 2011年7月発行 ★★★★

http://ecx.images-amazon.com/images/I/41P19kTanML._SL75_.jpg四龍海城
読了日:08月13日 著者:乾 ルカ



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Secre

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タヌキさん。嘘っぽい話を本当のように構築するには、やはりそれ相当のワザがいるんでしょうね。

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Puffさん。終始、不思議な感じの話ですが、人間関係が妙に現実っぽいんですよね。

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私もこの方は気に入っているので、さっそく予約します。
初期の作品らしい『メグル』を読みました。短編集だとちょっと淡い感じになりますね。

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めにいさん。今回のこの作品は設定だけでもゲームのようでなかなか面白かったです。しかもゲーム感覚だけでなく、人間関係もすごくいいので、ひとりひとりが城を去っていくのも名残惜しい感じでした。

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つまり城の中に食料とかはあるんですね?お風呂とか寝るところとか。さらったまま留め置くなら、いろいろ出費が・・・

城の名前に始まって、いろいろ用語を考えるのが好きな作家と見ました。

No title

イカダさん。城にはたぶんないものはないんですが(駄菓子屋、風呂屋から風俗店まであるし(笑))、ある科学的な意味で、耳栓とヘッドホンがないんです。科学的なことはファンタジーでありながら、けっこう考えたものになっています。

No title

少年少女の活躍する物語はただでさえワクワクしますけれど、更にラストが苦いと言うのも、また魅力的ですね。

No title

タバさん。この手の物語がハッピーなラストだとそれこそ絵空事になりかねないので、著者が考えた結果がこんな感じになったといったようですね。

No title

「ニュートンの特集」を連想させるカラクリとは…宇宙の根源に迫るとか?(笑)

No title

びぎRさんもこの間、読んだ特集です。ちょっとこじ付けっぽいノリですけど、なかなか考えたものになっています。

No title

おはようございます♪
今、図書館予約したら前に2人待ってました^^;楽しみです☆

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Puffさん。うちの図書館はいま、4人待ちでした。でも、本が5冊入っているので、実質1人待ちというところみたいです。

No title

読みました。
引き込まれましたし、最後は心揺さぶられましたよ。
少年の成長物語としてもとても優れていると思います。ただいま続けて『夏光』を読んでます。これもすごいですよ。

No title

めにいさん。なかなかこういった設定は絵空事になってしまうのに、ここまで書かれるのは、やはりワザだと思います。人間がきっちりと描かれているからかもしれませんね。

No title

ただ今、この本を図書館から借りて読んでますが、次の予約が入っているらしく、借りる期間が短いです。他の本を読んでいるうちにタイムリミットが~~~(泣 でもおもしろいわ・・・ニッ☆

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Puffさん。たしかに図書館だと予約が入っている本の貸し出しは短いですよね。なので、私の場合は速くて2日、遅くて1週間くらいで返してしまっています。。。

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読みきりました!ほんとに面白い!
ところで「ニュートン」の特集を読んでいたようなからくりってどんなことでしょうか?

No title

Puffさん。期限中に読めてよかったですね。
「ニュートン」の特集のからくりとは、貴希少年が悩ませていた音の正体です。

No title

あ~~、なるほど。益々いいわ~^^

No title

Puffさん。あそこだけは妙に科学的なんですよね。。。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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