〈花の鎖〉湊かなえ

「告白」以降、出せば必ず図書館予約が凄い状態の湊かなえの7作目がようやく回ってきました。
今回は3つの物語が同時進行し、やがて繋がりをみせるといったお話のようです。

ガン闘病中の祖母を抱えた梨花は、突然、勤めていた英会話学校の破綻に見舞われ、職を失ってしまう。
考えた末に梨花は「K」に援助を請うことに。
「K」は生前の母に、1年に1度、豪華な花束を贈ってくる謎の人物で、両親が亡くなってしまったときには、断ったが、梨花の生活面での援助を申し出た人物でもあった。
一方、伯父夫婦の勧めで和哉と結婚した美雪は、子供ができないことに悩み、何かとちょっかいを出してくる伯父の息子の嫁、夏美へ対して、苛立つようになる。
そして、イラストレーターの仕事の合間に、絵画教室の講師をしている紗月は、ある時、大学時代に付き合っていた浩一の妻で、友人だった希美子に子供ができたことを告げられ、頼みごとを聞いてほしいといわれる。。。

一見、何のつながりもない3つの話が、終盤にかけて、ピタリと1つに繋がるさまには唸りました。
途中、3つの話に共通のアイテムを盛り込んでいるので、微妙に繋がっては見えるんですけれど、それがいまいち形を成さないので、最後まで謎めいた展開で面白かったです。
人物に苗字だけ使ったり、名前だけ使ったりと、その人物を詳しく書きこまないことが、逆にこの小説の仕掛けに役立っているのかも。
そしてこの3つの話の繋がりを易々と悟らせない構成力。
1つの話にすると普通なのに、読ませ方を工夫するだけで、謎めいた展開になる。
読者に対しての見せ方、読ませ方をちゃんとわかって書いているのは、やはり天性のものなのかも。
「セカンドステージ始動!」と帯に書かれているけれど、まさしくといった感じ。
以前、「ミステリーの書き手としては、宮部みゆきの2番手という感じだけど、まだ宮部みゆきは追い抜けない」と書いたけれど、もしかしたら近い将来、軽く抜いてしまうのではないかと思えてくる。
なんか妙な勢いがある人です。

文藝春秋 2011年月発行 ★★★★

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51GwENi3iNL._SL75_.jpg花の鎖
読了日:05月28日 著者:湊 かなえ
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Secre

No title

ありそうなシチュエーションに突然、ありそうにない出来事。と言ったところなんでしょうか。
アイテムはやっぱり花束?
静かな大絶賛。めったに無い一冊みたいですね。

No title

宮部みゆきを軽く追い抜くかもしれない才能ってすごい
世の中、すごい才能がある人っているんですね

No title

関連性のない3つの話が終盤に繋がってくるとは、興味深いですね。私も図書館予約しようかしら。ポチ!

No title

イカダさん。名前アイコンがリニューアルですね(笑) そうそう。花束の主がいかにして母親に贈ったかが、全篇のキーワードとなっています。

No title

タヌキさん。幅広い読者に面白く読ませるということを知っているのが、たぶん湊かなえの強みでしょうね。

No title

Puffさん。ここまで計算しつくしてくると、もの凄い執念を感じます(笑) これからも湊かなえは注目です。

No title

宮部みゆきを追い越すですか?それはすごい。
今までは、あらすじだけ聞くと楽しめなさそうだったので、避けていましたが、そろそろ・・・
と言いながら、ここでも280近い予約が入ってますね。まだまだ無理だわ^^

No title

宮部みゆきも「女流の女王」というポジションをそろそろ譲りたいかも(笑)
「苗字だけ使ったり、名前だけ使ったり」…実はその中に同一人物や親族がいるとか?

No title

めにいさん。読み手を読ませるといったのは凄いものがありますね。これは東野圭吾とかにも共通する文章力ではないでしょうか。

No title

びぎRさん。そのうち湊かなえも下から追いつめられるようになっていくんでしょうが。
そうそう。そんな感じになっています。。。(笑)

No title

こんにちは。面白そうですね。繋がりがないように見えた独立したストーりーが微妙にリンクして、最後にピタリとパズルが嵌るように仕上がって行く作品は、構成力がモノを言うので作者の力量が試されますね。『告白』も映画化されてかなり話題になったし、どんどん注目度が上がっている作家さんで、私もここ数年気になってます。『告白』は既に文庫になってるみたいなんで、年内には湊デビューを果たしたいです。

No title

さにーさん。「告白」はけっこうラストで毒をはらんで賛否両論が起こる感じですが(特にPTAからはバッシングがきそう。だからドラマ化できないのかも(笑))、この作品も毒こそはらみませんけれど、なかなか魅せます。話としては、それほど突飛ではないのですけれど、小出しに読ませる方法を心得ているんです。きっと構成力が上手いんでしょうね。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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