〈ふたりの距離の概算〉米澤穂信

「やらなくてもいいことはなら、やらない。やらなければならないことは、手短に」
と、何事においても省エネをモットーとする高校生、折木奉太郎が活躍する古典部シリーズ第5弾。
氷菓では、姉にいわれてなりゆきで古典部に入った奉太郎が『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実を解き、愚者のエンドロールでは先輩からみせられた自主映画の廃屋で起きたショッキングな殺人シーンで途切れたその映像に隠された真意を解き、クドリャフカの順番では、文化祭で賑わう校内で奇妙な連続盗難事件が発生し、その盗まれたものから謎を解き、遠まわりする雛では、地元の祭事「生き雛まつり」へ参加する奉太郎たちが、開催が危ぶまれることになった手違いを解き明かす、と、じつはいつの間にかシリーズを全部、読んでいたんです(笑)
なので今回、タイトルはバリバリの恋愛ものって感じですけれど、著者のことなのでミステリに比重を置いたものになると思っていたら、やはり。。。
ミステリといっても、殺人のない日常ミステリで、よくこういったものをミステリにするな、といったほうがズバリかも。
今回も古典部に仮入部してきた新入生の大日向友子が、突然、入部を取りやめることになった理由はなぜか?というもの。
よくこれだけの素材で1冊の本ができるな(笑)と思うほどなんだけれど、それでも読ませてしまうのがこの著者のワザなのかも。。。
しかも今回の状況設定もなかなか面白い。
なにせ全校生徒のマラソン大会で、奉太郎が走りながら、後ろから来るひとりひとりの関係者との距離を概算しながら聞き込み、入部を取りやめた大日向の謎を解いていくのだから。
ただ、そういった謎が解かれる過程は面白いんだけれど、肝心の入部をしなくなった理由というのは謎を引っ張った割には、弱いかな、と。
でも、これだけ謎を面白く引っ張ってくれたんだから、いいかという気にはなりますけれど。

角川書店 2010年6月発行 ★★★

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51lnujYxnML._SL75_.jpgふたりの距離の概算
読了日:11月26日 著者:米澤穂信



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Secre

No title

面白い、ミステリーですね
確かに殺人が定番ですが、なくてもそういう感じはつくれるんですねえ

No title

新刊が出たのは知っていましたが、横浜は購入時期が遅いらしく検索しても出てきませんでした。そのうち忘れてしまって・・・
相変わらず省エネ高校生は健在なんですね。楽しみ!!

No title

タヌキさん。なかなか不思議な日常の考えた話なので、答えが出るまでは面白いです。ただ、途中を面白くしようと思ったのか、解決がちょっとう~んな感じも否めなかったです。。。

No title

めにいさん。けっこう新刊が入る時期ってモノによってわかりませんよね。うちの図書館は、今年の春頃、出版されたF・ポール・ウィルスンの短編が入った「ヒー・イズ・レジェンド」が入りましたが、誰も借りてません。。。(笑)

No title

走りながらの聞き込み・・・・さぞ息切れが。

何も起こりえない日常をミステリーに。。。その発想だけでもえらいのかもしれないですね。

No title

マラソン大会に参加しながら、聞き込みをするというアイデアはたしかになかなか新しい感じですね。そういった発想は素晴らしいというしかないです。

No title

古典部とマラソン大会って組み合わせも妙ですね~
そもそも古典部ってどんな活動をするんだろう?わからん(^_^;)

No title

この小説での古典部は活動という活動をしていないので、たぶん暇をもてあました生徒たちが静かに本を読んだり、お菓子を食べたりと、そういったことをしているんだと思います(ま、こういったミステリにはうってつけの設定ですね(笑)) ちなみにマラソンは大会は、学校全体の行事としてあるという設定です。

No title

これは面白そうですね。殺人のないミステリー^^
マラソン大会でのあとから走るひとりひとりの関係者との距離を概算しながらの謎解きですか。読んでみたい~~☆ポチ!

No title

ちょっと謎解きのしかたが技ありですよね。
こういった感じの話、しかも殺人のないミステリもなかなか面白いですよね。

No title

走っていく間に事件が起きるのかと思ったら、過去を検証するという形だったんですね。
タイトルも表紙も恋愛っぽかったので、すっかり騙されました。

No title

米澤穂信は本当に予想もつかない目新しいことをやりますよね。今回はこんな手を使ってやろうとか、一冊一冊、考えに考えて、読者を挑発しているようにも思えます(笑)
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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