〈歌舞伎座の怪紳士〉近藤史恵

27歳の久澄は家事手伝いとして、実家暮らし。
勤めに行く母親の食事を作って暮らす日々。
そんな久澄に、祖母からバイトが舞い込む。
祖母が行けない舞台を代わりに行って観てきて感想を聞かせてほしい、というものだった。
最初に送られてきたのは、歌舞伎座のチケット。
そこで、久澄は親切な老紳士に出会う。
が、次に送られてきたチケットで歌舞伎座に行った久澄は、再び老紳士に出会う。。。
この話はいろいろな謎が提示されていますね。。。
まずは歌舞伎座に行くたびに、事件に巻き込まれてしまって、その解決はという話と、なぜ祖母は久澄にチケットを渡して代わりに観てきてほしいのか、そしていつもそこで出会う老紳士は何者なのか?
久澄自体なぜ家事手伝いをしているのか、など上手いこと謎を散らばせて、いつもながらの淡々とした筆致でページ数少なめに(笑)描いていく。
決して大きな話ではないけれど、最後になるほどなと思う話づくりは、さすがですね。

2020年1月発行 株式会社徳間書店 ★★★☆

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〈みかんとひよどり〉近藤史恵

猟の初心者である潮田は山で遭難してしまい猟犬ピリカと共に死を覚悟するが、そこに黒い猟犬を連れた漁師の大高が現れ助けられる。
助けてもらって安堵した潮田はフランス料理のシェフで、かねてから鹿、猪などのジビエ料理を出したいと考えていたのだが、素材にこだわるために思うようにできないでいた。
少しでも素材を料理するために自分で、ひなどりなどを獲れればよいと思って免許を取って始めた猟だったが、遭難した時の用意もしていなかった。
軽率を詫びつつも、潮田にはある考えが浮かび上がるのだった。。。
不愛想な猟師の大高と、シェフの潮田という取り合わせが面白い。
鹿や猪、ひなどりなどのジビエ料理というのは食べたことがないのですけれど、料理などが書かれているとなんとなく興味を持ってしまう。
鹿が増えて、白樺の木の皮をはいで白樺がダメになってしまうから、鹿を殺してとなると、鹿がかわいそうとなるけれど、牛や豚や鳥をふだん食っているのだから、鹿だけが特別ということではなく、生き物(もちろん植物も)を殺して食うことは生きることなんだってそんなことを思ったりした。
極端に言うと、鯨だって増え過ぎたら他の魚がダメになってしまうかもしれないし。
あ、そのときは世界中が鯨を食っちゃうかも(笑)
でもほかの魚がいなくなったら鯨もいなくなっちゃいますがね。
虫を食べたりしているところ、カタツムリを食べるところ、犬を食べたりしているところもある。
こちらはあんまり食べたくないけれど、とりあえず食えるものは食ってしまえ(笑)
ちょっとこの本の書評からそれたけれど、いつもながらコンパクトにまとめられているのは、さすがだなとおもいます。

2019年2月発行 株式会社KADOKAWA ★★★☆

〈わたしの本の空白は〉近藤史恵

今年にかけての近藤史恵本が三冊目となってるけれど、これはたぶん、本がなかなか回ってこないことにあると思う。
私のところの図書館だけかもしれないけれど、最近は新刊を入れる冊数を抑えている感じがして、もしかしたら本が売れない事に対しての多少の配慮をしているのかな、なんて思ったりもしている。
月刊雑誌は一か月後から、二か月後の貸し出しになったけれど、そろそろ単行本は一年後、文庫本あたりは三年後くらいに貸し出しにしても良いかもしれない。
とりあえずは、本書です。
病院で目覚めた三笠南。
が、目覚めた彼女は一切の記憶を失っていた。
迎えに来た夫という男性と、南は義姉と認知症の義母が住む家へと帰ることになるのだが。。。
こういったよくあるネタを、新鮮かつ先の読めない展開にするのはもうお得意という感じで、自然に先へ先へと読ませるのはいつもながらさすが。
あまりにもうまい具合に腑に落ちて、たまには突っ込みどころもほしいけれど(笑)
今回もきちんと伏線を小出しに出してくるのである程度の予想はつくのだけれど、細かくその裏を突くからなかなかなものなんですよね。

2018年5月発行 角川春樹事務所 ★★★☆

〈震える教室〉近藤史恵

ピアノやバレエの専門教科があることで有名な高校の普通科に通うことになった真矢は、あるとき著名な小説家を母に持つ花音に触れられてから怪異を見るようになってしまう、という6編からなるホラー短編。
「ピアノ室の怪」
「いざなう手」
「捨てないで」
「屋上の天使」
「隣のベッドで眠るひと」
「水に集う」
タイトルがおっかない感じだけれど、「ピアノ室の怪」「いざなう手」あたりは比較的穏やかな印象。
「捨てないで」はよくあるパターンの話だけれど、それをうまい具合に隠して、終盤にそれとなく出してきたので、すっかり騙された。
短編は構成力だなと感じた一編。
「屋上の天使」から「水に集う」は意外にもゾクゾク来た。
油断した(笑)
とはいっても小野不由美さんほどではない。
小野さんの場合はもう、別次元にいっちゃってるから。。。(笑)
その点、この本は程よい怖さとなんとなく腑に落ちる結末で、怖いものが苦手の人にも安心して読めると思う。

2018年3月発行 株式会社KADOKAWA ★★★☆

〈インフルエンス〉近藤史恵

作家の私に舞い込んだ手紙の内容は、女三人の三十年にわたる関係に興味がないか、小説の題材にしないか、というものだった。
実際、そういうファンは多くいるが、いずれも大した面白くないのが多い。
が、作家の私はその手紙の主に会ってみることになる。
あいかわらずちょっとした話を広げて読ませたら右に出るものがないほど達者な著者だから、読み手もサクサクと読めてストレス知らず(笑)
話のなかで、ドラマティックな展開よりも地味な展開を好むというように、著者本人もこの地味な展開がベストと思っているのかもしれない。
なので地味だけれど面白い展開を意識しているからか、こういった話もなかなか手慣れたワザを感じた。
何の題材を書かせても安定なのは、なかなかできることでない。
著者本人がいろいろなことに興味を持っているから、ある種のパターンに陥ることもないし。
こういう題材をサラッと書く。
この方、やっぱ、すごいかもしれない。

2017年11月発行 株式会社文藝春秋 ★★★☆
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司をよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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