〈Iの悲劇〉米澤穂信

誰も住まなくなった山間の小さな集落「蓑石」
市長の発案で蓑石に人を住ませるプロジェクト、Iターンプロジェクトを立ち上げられ、市役所に「甦り課」が新設され、蓑石に住むものも徐々に増えていき順調のなか、ある謎が蓑石で起こる。
出世する気満々なのに、「甦り課」に左遷された万願寺が蓑石の再生に向けて奮闘という、読みだしは、なんか米澤穂信らしくない感じを受けて(笑)、この路線で終わるのかとちょっとテンション下がりながら思っていたんですが、最後、あっと、なるほどとなりました。
でもそのなるほどはなかなか小粒なものではありましたが、この路線で終わるよりはいいか、と(笑)
けっこう期待していた割には、あらら、という感じなので、次に期待としておきましょう。。。

2019年9月発行 株式会社文藝春秋 ★★★

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Iの悲劇 [ 米澤 穂信 ]
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〈本と鍵の季節〉米澤穂信

高校二年生の堀川次郎はこの春から同じ高校二年の松倉詩門と、利用者のいない図書館で図書委員の仕事をすることになったことから、さまざまな謎を持ち込まれるようになる。。。
図書館からきて短編連作集ということに気づいたんだけれど、どちらかというとこの方の本領発揮は短編連作にある感じがする。
しかもかなり苦めの後味の。。。
初っ端の「913」からして、読んでいて不穏な感じが漂いました(笑)

913
先輩の元図書委員から持ち込まれた話は、死んだおじいさんの金庫の暗証番号を解くということだった。
途中から、この件は普通じゃないという感じが半端なくて、そこのところが上手い具合に功を奏した感じ。

ロックオンロッカー
紹介者と紹介する人が2人で来店すると、四割引きになる美容室での話。
これの落ち、私はもっとアコギなことを考えていたのを報告しておきます(笑)

金曜に彼は何をしたのか
職員室の近くの窓ガラスが割られた事件でちょっと問題児の兄が疑われ、弟がその疑いを証明してほしいと頼む。
窓ガラスを割ったのは思ってもみない人だった。
これはちょっと伏線が冴えた事件かもしれない。

ない本
自殺した三年生が最後に読んでいた本を探しに、友人が図書室に訪ねに来るが。。。
これも最後に不穏な空気になる話。
あまり小細工はやらないほうが良かったかも。。。

昔話を聞かせておくれよ
松倉詩門の六年前の解けないお宝話に、堀川が解き明かすのだが。。。
これはちょっと良い解決、でもこれで終わりと思っていたら次の、友よ知るなかれ、で再び不穏な空気になる話になっていた!(笑)

友よ知るなかれ
前の話が裏返る話で、これは法に触れるけれど、私的には松倉の気持ちもわかる気が。。。

やっぱり米澤穂信さんの書く連作は普通に終わらなくて、ずっしりと重い。。。
爽快感とか無縁かも。
でもそこが良い。

2018年12月発行 株式会社集英社 ★★★☆

〈いまさら翼といわれても〉米澤穂信

古典部シリーズ最新作。
米澤穂信さんの描く高校生ものって何か自分の中でしっくりこなくて、うっすらと苦手感があるのだけれど(それでも読んでいるのだけれど)、この作品を読んでやはりその苦手感は根深いな(笑)とあらためて思った。
6つある短篇は、たしかにひとつひとつはそれなりに読ませる話だろうけれど、どうにも言葉では表せない違和感みたいなものがあって、それが私にはしっくりこないんだろうな、と。
誰でも苦手なものがあるから仕方がないのだろうけれど、もしかしてしっくりくることがあるかもしれないと思って、このシリーズをとりあえずは読みつづけてはいるんだけれど。。。
ま、高校生のシリーズ以外は、しっくりくることが多いので米澤穂信を読みづけているといっていいかもしれないけれど。

2016年11月発行 株式会社KADOKAWA ★★★

〈さよなら妖精 新装版〉米澤穂信

2004年に東京創元社ミステリ・フロンティアより刊行されて、2006年に文庫化された本書は新装版になり新たな書き下ろし作品が1篇つくことになったために、再度読んでみようという気になりました。
私が初めて読んだのが2010年2月ということだから、6年10か月が経ってからの再読ということになりますね。
あらすじは、高校生の守屋と大刀洗が梅雨時の日本で出会った少女マーヤはユーゴスラビアから来た外国人。
ひょんなことから何気ない日常を2か月を共にすることになった2人だったが、マーヤが帰国してから約束の手紙が来ないことにより、最大の謎解きが始まることになる。。。
ラノベな日常のゆるい謎解きから、かなりシビアな展開というのが、初読み時の私の感想だけれども、今回あらためて読んでみると、一見かるいノリで描かれていると思いきや、ひとつひとつの展開がきちんと考えられて出来ているということをあらためて感じた。
しかも日常ミステリから一転してのシビアな展開の部分は、前に読んで知っているばずなのに、いったいどうなるのといった具合で一気読み。
そしてラストにはうかつにも涙した。
初読のときは、けっこうこの泣ける部分が醒めていたのだけれど。。。
初読と2度読みとが、こんなにも感じたかたというか印象が変わるのは稀かもしれない。
新たに書き下ろされた1篇は、やはりマーヤの○○ですか。
その○○は、傘が壊れて使えなくなくてそのまま出て行った後に。。。という感じになりますね。
紫陽花のバレッタといい、使えなくなった傘といい、いろいろと考え込まれている1篇かもしれない。

2016年10月発行 株式会社東京創元社 ★★★☆

〈真実の10メートル手前〉米澤穂信

ジャーナリスト、大刀洗万智シリーズ?の短篇集といったところ。
前作の「王とサーカス」よりも前の話?なのかな。。。

真実の10メートル手前
「王とサーカス」の前日譚として長編の劈頭に置くつもりだったらしい。
外国人ということを見抜く伏線描写が見事。
話的には後味の悪いものなのだけれど。。。

正義漢
電車の人身事故で、現場で携帯で写真を撮る人物を眼にとめる人物だったが。。。
最初携帯で写真を撮る人のほうがヤバイ人だと思っていたら。。。
そこのところの意外性がよかった。

恋累心中
高校生同士の心中事件の真実を描く話。
こういう理由でやられるとちょっと可哀想な気もする。。。

名を刻む死
死んだ人の投稿した内容にいちいち頷いてしまう私はヤバイ人かもしれないと思った(笑)

ナイフを失われた思い出の中に
こちらアンソロジーの「蝦蟇倉市事件」に載った話のようですが、もちろんすっかり忘れていて新しい話を読んだ読後感でした(笑)

綱渡りの成功例
大雨で土砂崩れが起きて孤立してしまった3軒の民家から、唯一たすかった老夫婦は、息子が大人買いして置いていったコーンフレークで三日間食べつないだおかげで生き延びられたのだが。。。
これはべつに○○でなくても×でもといった感じだけれど。。。
私は普通にこれだけでバリバリ食っていますが。。。しかも昼食(笑)

全体的にはこの事件になぜ、大刀洗万智が出てくる?といった意外性があります。
この短篇集でも大刀洗万智のつかみどころのないキャラクターが良い。
大刀洗万智を謎めいた女性に見せるために、あえて一人称をとらない、著者の試みはかなり成功しているかもしれない。

2015年12月発行 株式会社東京創元社 ★★★☆
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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