〈消滅〉恩田陸

そういえば読売新聞に連載されていたっけと読み始めてから思ったのだけれど、あまりまじめに読んでいなかったためか、いつの間にか読むのをやめていたという代物です。
あらすじは超大型台風が接近中のために封鎖された空港で、入国のために手続きをしていた11人と1匹が別室に連れていかれ足止めを食らうという話。
手っ取り早く言えば、11人と1匹?のなかにテロリストの首謀者がいるとわかり、なにかを「消滅」させることを未然に防ぐために足止めされるんですけれど、肺が数日で壊死してしまう新型肺炎が流行っていたり、アンドロイドが出てきたり、どうも近未来の話っぽいのがじわじわとわかってきます。
だからSFっぽい話かというと、そうでもなく、ひたすら封鎖された空港でテロリストを探す話というミステリもの。
舞台があまり変わらないし、あっと驚くことが起きるわけでもなく、ただ淡々と犯人捜しな話なので、そこのところがちょっと単調な部分もあるのです。
しかも、ラスト、やはりぐだぐだな感じで。。。
新聞連載だから、この500ページという長さはしょうがないのだろうけれど。。。
途中まで楽しめればという感じかな。。。

2015年9月発行 中央公論新社 ★★★
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〈丕緒の鳥〉小野不由美

十二国記シリーズの「華胥の幽夢」が出版されてから、もう12年がたっているというから驚きです。
10年ってあっという間だな~と、しみじみ思いつつ、こっちが年取っちゃうわけだと、現実に返る(笑)
今回の短編集は直接、続きというわけではないのだけれど、でも、まあ、ようやくシリーズ再開の兆しが見えてきたようで、めでたいと言えるかもしれないです。

丕緒の鳥
落照の獄
青条の蘭
風信

「丕緒の鳥」と「風信」は、陽子が慶の王になるまでのゴタゴタに巻き込まれてしまった人たちを描いていて、陽子がこちらにやってくるまでの慶の実情が垣間見えてなかなか面白いものになっている。
「落照の獄」柳の国。
「青条の蘭」は延。
それぞれいいところに眼をつけた感じの話で、もう十二国記の世界にどっぷりつかれるエピソードとなっています。
読み始めこそ、久しぶりの漢字の連打で読みにくさを感じたものの、そこは物語を引っ張る筆力でぐいぐい読まされてしまい、一気に読んでしまった。
12年という間が空いてしまっていただけに、もしかしたら著者は燃え尽きてしまって書けなくなってしまったのではないかと危惧していたのだけれど、今回の短篇を読むかぎりでは、まだまだ大丈夫、まだまだイケるんじゃないかと、そんな感じがした。
そのくらい、十二国記の世界はばっちり健在でした。
これはももう、執筆中と言われる長篇に期待です。

新潮文庫 2013年7月発行 ★★★☆

〈夜の底は柔らかな幻上・下〉恩田陸

ついこの間までは、次から次へと作品を出していたけれど、ここ数年あまり作品を出していなかったような気がする。
短編集は最近、図書館予約いっぱいいっぱいなので、スルーすることにしているので、久々の恩田陸作品かもしれない。

日本から切り離され、治外法権の地であるため、犯罪者などが逃げ込む「途鎖国(とさこく)」
実邦(みくに)は生まれ故郷でもある途鎖国に秘密裏に戻ることになった。
だが入国早々、葛城に出会い、素性がばれてしまった。
実邦は途鎖国の生まれであることを示す、在色者(イロ)という特殊な能力を持つ人間で、ある人物を捕まえるために途鎖国入りした、警視庁の警部補だった。。。

日本の土佐?のような架空の「途鎖国」を舞台にしたファンタジーまじりのホラーというところでしょうか。
最初こそ、凝った設定と舞台背景で、読んでいてワクワクめいたものがあったのだけれど、読み進むにつれて、それがどうでもいい感じになってきた。
凝った設定のわりには薄っぺらいキャラとストーリー展開がちょっといただけないかも。
下巻はとくに燃え尽きたようなストーリー展開で、先へ先へと読ますことなく読むのが苦行だった。
この話で上下巻を書いて引き延ばすのは迷惑のような気もする。
私は図書館だから良いものを、買っている人はほんとそんな感じかも。
もしかして著者はスランプなんじゃないかと、ちと心配になった。

文藝春秋 2013年1月発行 ★★☆

〈残穢〉〈鬼談百景〉小野不由美

〈残穢〉
「残穢」と書いてザンエと読むそうです。
タイトルからしておっかない感じだったので、図書館予約を取るのに腰を引けていたんですが、「十二国記」シリーズの小野不由美ということでいちおう並んでみました。
同時期に出た「鬼談百景」も「残穢」に関連があるということで、そちらも予約することに。。。

作家の私は昔の小説のあとがきに「怖い体験談」を募集し、それがいまでも読者から送られてくる。
その中で知り合いになったライターの女性の体験談が、もう一人の別の読者の恐怖の体験談とリンクをしはじめて、その恐怖の出来事の過去を探るうちに断片的に色々なことがわかってくる。。。

ひぇぇぇ~ こ、これはっ、やはり読むんじゃなかったと思うほど怖かったです!
いや、とてもではないが、夜寝る前には読めない代物で、仕方なくまだ明るい午前の仕事中にさっさと読んでしまった(それも問題だが。。。(笑))
ノンフィクションのような、もろ、怖い話なので、読んでいて全篇ゾッとする感じで、記事も書きたくないほど(笑)
なので、思い出すのも嫌なので、あらすじも詳しく書けない。。。
とくにある部分は、これを読んでしまった私も、もしかして。。。といった感じになって、それだけでゾクゾクきます。
とにかくマンションやアパートなどで1人暮らしの人にはお薦めできないかも。
それでも読みたいという人は、覚悟しいや。。。(笑)
でも結局、なんだったんだろう、という結末はちょっといただけなかった感じもするけれど。

新潮社 2012年7月発行 ★★★☆

〈鬼談百景〉
こちらは「残穢」で、主人公が読者から集めた実話集というところかも。
小野不由美版百物語といった感じで、おっかなくてゾクゾクくるような話。
百話もあるから、最初は夜に読めないほど怖かったのだけれど、途中、もういいよ的な感じにもなった(笑)
百も物語を書いた意義は認めたいけれど、もうちょっと終わり方が考えたものになっていたら、よかったかも(オチがなくて途中で放り出したようなものも多かったので)
でも実話だったのなら仕方ないかもしれないけれど。。。

メディアファクトリー 2012年7月発行 ★★★

〈西の果てまで、シベリア鉄道で〉大崎善生

ユーラシア大陸横断紀行、と副題があって、しかもシベリア鉄道で、ときた日には読まない手はない。
というのも、世界一長いシベリア鉄道って、いっぺん乗ってみたいと思っていたので、どんなもんだろう、という興味があったからです。
でも、私、実は、飛行機というものを乗ったことがなくて、海外はもちろん、沖縄、北海道にも行ったことがない(笑)
いちばん遠いところといえば、西は山口県の萩、北は青森県の十和田湖に行ったくらい。
トホホな旅行経験しかないからか、この手の本ってけっこう好きなんです。
でも、他の人にはあんまりこの手の本は人気がないのか、新着の割にはすぐに図書館から回ってきましたが。。。

出発は富山から船でウラジオストックまで2日かけて渡り、そこからシベリア鉄道で、というノリ。
全身緑色づくしの友人(髪もパンツも緑らしい(笑))と一緒に、シベリア鉄道「ロシア号」のファーストクラスに乗りこんだ著者が、体験するロシアの現実がかなりシビア。
ファーストクラスの寝台車なのにベッドが2台きりしかなく、シャワー室もなくトイレもついてない。
トイレは車両についているのを共同で使い、しかも紙が流せないので、使用済みの紙は備え付けのビニール袋に入れるらしい。
しかも上から眼線の女車掌(旧ソ連時代の鉄道員は国家公務員のエリート階級らしく、客を客と思っていないらしい)、他の車両(食堂車)に移動するときは、まるで看守のような男が車両の鍵をあけて(車両と車両は鍵が掛けられて移動できないようになっている)、囚人のように付き添うなど、もう禁固刑状態(笑)
食堂車の食事もまずくて食えたものではないらしく、日本から持ってきたカップめんを啜る日々だったらしい。
ああ。。。シベリア鉄道にいっぺん乗ってみたいと思う気持ちが音を立てて崩れていく。。。(笑)
著者もそのことがインパクトだったのか、シベリア鉄道の記事に多く割かれている。
なので、話がヨーロッパに入ったとたん、ホッとするような、逆につまらなくなったような。。。(笑)
でも、これを読んで、行くなら、やはり自由な文明国?だな、と思いました(笑)
社会主義が崩れても、旧態依然としている、ロシアって、やっぱ、まだまだ怖いかも。。。

中央公論新社 2012年3月発行 ★★★☆

http://ecx.images-amazon.com/images/I/510zw3MWBOL._SL75_.jpg西の果てまで、シベリア鉄道で - ユーラシア大陸横断旅行記
読了日:04月28日 著者:大崎 善生

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プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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