〈騎士団長殺し 第1部・第2部〉村上春樹

肖像画を描くことで生計を立てていた私は、あるとき妻に別れを告げられ小田原にある山の上の一軒家に住むことになる。
かつて日本画家の雨田具彦が住んでいた一軒家で暮らすうちに、屋根裏部屋から一枚の画が見つかる。
「騎士団長殺し」とタイトルのついた一風変わった画だった。
その夜から真夜中になると、外の古い祠から、鈴の音が聞こえてくるようになる。。。
今回なんだかホラーな展開がなかなか面白いのだけれど、春樹がこのままホラーな祟り話で終わるわけないなと思っていたら、ああ、なるほど、そう来ましたか、な展開に。
日常の中に非日常をぶっこんで来るのが相変わらず春樹である。
だけど、ファンタジー寄りの春樹が好物な私にとってはこの展開はいいかもしれない。
騎士団長のキャラはあまりの非日常的で読んでいる間は違和感があるのだけれど、読み終わってしまうと騎士団長のキャラのキュートさ(笑)が際立って印象に残る。
他に免色さんというキャラも印象に残るけれど、騎士団長の前にはすべての存在が薄れてしまう(笑)
こういうところは相変わらず上手いな、と思う。
村上春樹の書く小説は村上春樹にしか描けない絶対的世界があるんだな、とつくづく思う。
今回の小説は全体的のインパクトは弱いのだけれど。。。

2017年2月発行 株式会社新潮社 ★★★☆
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〈スタフ〉道尾秀介

久々の道尾秀介本にはちょっとした訳がある。
週刊文春に連載されていたのを最初、面白かったので読んでいたんですが、ついつい、つづきを読むのを忘れてしまっていたのです。
で、この本が図書館の新着に入っていたので、そういえばあの話の続きどうなっていたんだっけ?と予約を取ってみたというわけです。
夫と離婚してランチワゴンで生計を立てている夏都は外国で働く姉の子供である中学生の智弥と暮らしている。
あるとき夏都はランチワゴンごと何者かに連れ去られてしまう。。。という内容。
で、読んでみて、なるほど、ついついつづきを読むのを忘れてしまったのには訳があったのだと今さら気がついた。
読むのを忘れた部分から物語が面白くない方向に展開していくからだったのか。。。(笑)
とりあえず、ついつい、つづきを読み忘れてしまう話というのは、読まなくて良い本なんだという結論に達しました(笑)

2016年7月発行 株式会社文藝春秋 ★★☆

〈そして、何も残らない〉森昌麿

図書館から予約が忘れてころに回ってきたときに、たまにこの本なんで予約したんだっけと思う本がありますけれど、それがこの本だったりします。
たぶん、題名と現代日本版「そして誰もいなくなった」という謳い文句に惹かれて予約したんだと思う。
内容は、今は廃校になった地元の中学校に軽音楽部のメンバーが集まって、そこで廃部に追い込んだ教師に復讐をするために祝杯を挙げていた時に、その教師の声がミニコンポから聞こえてきて「中学卒業諸君に死を」と唱える中で、一人が死に、また一人が死に。。。そして学校を取り囲む川の橋も焼け落ちて、孤立状態になってしまうという展開。
いかにもな展開でそれほど目新しい見せ方もないまま、読んでいて眠くなってしまったのだけれど(笑)、とりあえずはどう決着つけるかだけを知るためにラストまで読み切りました。
で、結論的にはちょっと安直かな、と。
しかも大甘なラストが私にはどうも、という感じでした。
付け足したように帯に書いてあった、究極の「青春+恋愛」ミステリーという言葉を見落としていたのが敗因かもしれない(笑)

2015年9月発行 幻冬舎 ★★☆

〈図書館奇譚〉村上春樹

本書はドイツ人の女性画家であるカット・メンシックが挿絵を描いて、本国で出版された日本語版だそうだ。
なんでも世界のデザイナーやイラストレーターが創作意欲を湧くのが「図書館奇譚」だそうで、いまもアメリカやイギリスでの挿絵つきの本の出版が待機しているらしい。
話の内容は本当に短篇といった趣で、いままでなかったはずの図書館の地下に主人公の男性が階段を下りていったことから不測な事態に陥るというもので、本当に単純明快な話なのだけれど、登場人物がいちいちアクの強い人たちなので、これが絵を描く人たちにとっては、いろいろと自分の創造力で冒険できて面白いのかも。
お話としては、これで終わり?という感じだけれど、羊男がどうなったかとかは読み手に想像させるのが良いのかもしれない。
とりあえずは、あちこちの図書館でこのことは行われているということなので、いままでなかったところに地下に続く階段が見つかっても、決して下りない方が良いということだけはわかりました(笑)

2014年11月発行 新潮社 ★★★☆

〈色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年〉村上春樹

タイトル、長いよ、春樹。。。(笑)
と、誰もが突っ込みを入れたくなるようなタイトルだけれど、テレビなんかでさんざん聞かされて慣れてくると、インパクトの面でけっこう上手いタイトルつけたな、という感じかも。
きっと、そういうところもちゃんと計算されつくされているんだと思う。
本1冊出るたびに、お祭り騒ぎ的な売れ行きで、1歩上行くミーハー的な流行作家になってしまったような気もするけれど、あいかわらず文章力の面ではさすが世界のムラカミという感じです。

大学時代に、突然、仲の良かった4人から、絶縁を突きつけられてしまった、多崎つくる。
30代も後半になり、大学時代になぜ絶縁されたのかを知るために、つくるは1人1人に逢いに行くことになる。。。

アオ、アカ、シロ、クロと名字に色彩を持つ4人から絶縁された、名字に色彩を持たない、多崎つくるがなぜ、絶縁されてしまったのかを知るための話、という「海辺のカフカ」「1Q84」とかの大作に比べると、割合、フツーな話だけれど非常に読ませる。
やはり何書かせても上手いな、春樹(笑)というのが率直な意見。
私としては、「海辺のカフカ」や「1Q84」のようにちょっと非日常が入ったほうが好みではあるけれど。
でも長年書いていても、先へ先へと読ませる筆力は健在で、推敲に推敲を重ねた文章は読んでいて心地良い。
難しい文章を使わずに、つとめて誰にでもわかりやすく書くという著者のこだわりみたいなものが文章に表れていて、本当に上手い文章というのは、こうでないとと思ったりした。

文藝春秋 2013年4月発行 ★★★☆
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は、
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司などをよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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