〈星をつける女〉原宏一

フランスで世界的な食の格付け会社で覆面調査員として働いていた紗英は、いまは日本に帰国し、投資家相手に日本の料理店の格付けを行っている。
あるとき、人気のフランス高級料理店の覆面調査をしていた紗英は、メニューと違う牛肉を使っていることに気づく、という話。
日本版ミシュランガイドみたいなノリで、原宏一さんは相変わらずこういう、つかみどころが上手いなと思う。
しかし、ディナー料理4万円ぶんどっておいて、偽物を使うのはけしからんな(笑)
実際、いま生き残っている高級料理店はそういうことはないだろうけれど。。。
ま、過去に有名料亭が残り物だしたということもあるから、ぜったいにないとは言えないけれど。
覆面調査員は高級食材の味も知っておかなければならないけれど、ファミレス、コンビニ弁当の味も知っておかないと、外国産の米に、米のつやをよくする添加物を使っているとかもわからないし、いろいろと大変なんだなと思った。
この本を読んで思ったことは、コンビニ弁当、ファミレスなどの安いものよりも、それなりの値段がするもののほうが、それなりの価値があるということ。
ただ、偽装をしていなければ。。。(笑)

2017年1月発行 株式会社KADOKAWA ★★★
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〈ブラック・ドッグ〉葉真中顕

各国の動物実験施設や殺処分場、そして食肉卸売業者などを標的に殺人も辞さない過激な動物愛護団体「DOG」が、今度は日本の遺棄動物譲渡とペット販売のイベントの会場をターゲットにし、そこに集まった人たちは突如会場に閉じ込められ、黒い獣に次々と食い殺されることになる。。。
という、いわゆるパニックものなんですけれど、主役級のカップルの男女(男が元自衛官で女性にプロポーズをするために指輪を持っている)がある種のパターンに陥らないで、いきなり読み手の期待を裏切るところがある意味、この話の見せ所かもしれない。
話自体は面白いんですけれど、中盤以降からやはり茶番との戦い(笑)みたいなノリなのがちょっと残念だった。
犬目線とかは西村寿行に書かせると妙な現実味があるんだけれど。。。
あと、登場人物が見捨てた親子の幻との葛藤がうざい(笑)
キングだと良い具合に人物が狂わんばかりに葛藤するのだけれど。。。
全体的にはあまり話を長くしないで潔くぶった切ったほうが良かったかもしれない。
そのほうがラストの意外性が際立ったかも。
意外性もちょっと反則な気もするけれど。。。

2016年6月発行 株式会社講談社 ★★★

〈ブロッケンの悪魔〉樋口明雄

本当はこの本、ホラーな山岳ものだと思って予約を取ったんですけれど、調べたら、ガチの山岳救助隊の話だということで、予約を取り消そうといったんしたんですけれど、アマゾンでの評価が良かったのでそのまま予約しといた代物です。
樋口明雄は「ミッドナイト・ラン」が気に入って、そのあと読んだホラーな山岳ものが面白かったので、とりあえず新作出れば読む作家さんに認定しています。
大型台風が接近する中、南アルプスの山荘を武装集団が制圧、そこへと上る道路も寸断され陸の孤島状態になった。
武装集団は一体何が目的なのか。。。
というあらすじなんだけれど、この武装集団の目的というものが最初から予想できる範囲内だったので、ふ~ん、という感じでどうもこの部分が弱い感じがした。
その他は、ダイハード並みの面白さというのがあるのだけれど、この目的が弱いものだから、全体的に安易な感じになってしまう。
わざわざVXガスなんか持ち出さなくてもという感じで。。。
警察キャリアのキャラも想定内だし、とはいえ主役級の人物は頑張っているんだけれど、武装集団のキャラがまた弱くて。。。(笑)
やはりホラー山岳じゃなかった時点で切るべきだったかもしれない(笑)

2016年2月発行 角川春樹事務所 ★★★

〈女神めし〉原宏一

キッチンワゴンで各地の地元の湧水で、食材さえ持ってきてくれれば、安い値段でいかようにも調理する、佳代のキッチン。
前作はとても面白かった記憶(笑)があったので、その佳代のキッチンの続篇ということで図書館新着されるなり予約をとりました。
今回は氷見、下田、船橋、尾道、佐賀関(関サバのところ)、五島列島の福江島。
キャラが出来上がっている分、サクサクと読めて定番の面白さがあるんですけれど、新鮮味という点ではやはり前作を上回る出来にはなっていないなと正直おもいます。
あの方が亡くなって、この各地を巡る旅のもう一つの目的である、支店を支援するというのも、最終話で終わりに近づいてきたような気もする。
この最終話が急展開して本当にこの話の終わりのような気もするんですけれど、それにしてはちょっとバタバタしすぎて中途半端な感じがして、まだまだ続きがあるのかな、と思ってしまう。
でもたぶん、これで終わりなのかもしれない。
なんかそんな感じがする。
もし終わりだとしたら、もしかすると、プロヴァンスあたりで佳代のキッチンワゴンが走っていそうな気がする。
もし終わりなら、そういった光景を読者に思い描かせてといった感じかも。。。
でも案外、まだ日本各地を走っている続篇が出たりして。。。(笑)

2015年9月発行 祥伝社 ★★★☆

〈ナミヤ雑貨店の奇蹟〉東野圭吾

最近、売れに売れまくっている感じなので、ある程度の水準の高い面白いミステリは書いていると思うんですが、逆にそこが面白くない感じがして(たんに私がヒネクレているだけなのだろうけれど(汗))、しばらく遠ざかっていたのだけれど、いかにもなファンタジーなタイトルの本書に興味を持ち、図書館予約に並んでみることに。。。
いまでも400人超の予約が並んでいるので、あらためて東野人気の凄さが判りますね。

翔太、幸平、敦也の3人のコソ泥たちが逃げた廃屋は、かろうじて看板が読める「ナミヤ雑貨店」
中は埃だらけで人が住んでいる気配はない。
それなのに、ふいにシャッターの郵便口から落ちた手紙には、ここに人がいるかのごとく、「ナミヤ雑貨店」宛てに相談事が書かれてあった。
どうやら「ナミヤ雑貨店」の店主の浪矢雄治は生前、悩み事相談をしていて有名だったらしい。
3人は相談ごとに返事を書くが徐々にあることに気づく。。。

最初、第一章を読むかぎりでは、各章、コソ泥たちが、舞い込んだ相談事を解決するという、ゆるめのちょっといい話になるかと思いきや、いろいろなアイテムが複雑に絡み合って、どこにどう転ぶか目の離せない展開に。。。
ちょっといい話の連作に終わらせない構成力が、さすが東野圭吾という感じで、もうこの方、どこをどういうふうにすれば読者を飽きさせず、意表を突けるかというのをきちんとわかって書いているから、そこのところがしみじみ凄いと思う。
本書はファンタジーなんだけれど、構成的にはやはりミステリの血が騒いでいて、この部分は職人技といっても過言でないくらい上手い。
とくにサザンオールスターズなどの曲を知っていると、どの時代かわかる仕掛けも面白い。
「今がどんなにやるせなくても、明日は今日より素晴らしい」
これだけで、この手紙に書いた人って、あの人たちってわかるんですよね。

角川書店 2012年3月発行 ★★★★

http://ecx.images-amazon.com/images/I/515HP0UpReL._SL75_.jpgナミヤ雑貨店の奇蹟
読了日:07月11日 著者:東野 圭吾

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プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司をよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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