〈七つの墓碑〉イーゴル・デ・アミーチス

ナポリ近郊の墓で殺されていたのは犯罪組織のボス。
ボスは自分の名前が書かれた墓碑の前でこと切れていたが、この事件が妙なところは、これから犯罪を予告するかのようにあと六つの墓碑が建てられていたことだった。
そのころ、七番目の墓碑に名前が刻まれていた男、ミケーレは、20年の刑期を終えて刑務所を出所する。
が、一連のことを知り、姿を消すことを試みる。。。
墓碑が建てられた人たちは、いずれも犯罪者たちなので(なにせイタリアはマフィアのメッカだし)、過去に起きたことのエピソードを読み進めるにつれて、七つの墓碑は、過去のエピソードでの復讐ということが最初の段階でわかってくるので、ミステリーとしてはそれほど凝った出来ではない。
どちらかというと、主人公ミケーレが、ムショに入って、大物犯罪者から本を読むことを教わって人間性が出来てきて、昔のやんちゃなころの罪を贖う話といっても良いかも。
なので、犯人が誰かというよりも、ミケーレが最後どうなるのかのほうに自然と興味がいく。
結果、こうなるしかないかな、な暗雲立ち込める結末ですけれど、ラスト、あの娘が逃れられたのは暗いなかにも一条の光が射し込んできたような感じで良かったかもしれない。

2020年2月発行 株式会社早川書房 ★★★☆

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〈カメレオンの影〉ミネット・ウォルターズ

イラク派遣で頭部と顔に重傷を負ったアクランド英国軍中尉は、昏睡状態から目覚めてから以前と違って暴力的な性格と女性嫌悪を示して周囲を戸惑わせていた。
彼は軍を除隊してロンドンに住むが、近隣では一人暮らしの男性が撲殺されるという事件が連続して起きていた。
最初、重傷を負った中尉と連続殺人がどう繋がっていくのか、繋がったとしたらいったいどういった展開になるのかがつかめなくてというか、ミステリーとしてあまり面白みがある話ではないのでサクサク読めなくて(笑)、ここのところがちょっと戸惑ったのだけれど、これもすべて著者の意図するところだったらしい。
途中まで全然つながりを見出せなくて、このミステリーとんでもないことになるんじゃないかって心配してた(笑)けれど、半分進んだところでつながりが出てきた。
でもぜんぜん怪しくないと思ったら、怪しかったりで、ここのところ、どっちにもとれてヤキモキさせられる。
ラストまで読むと、ちゃんと物語の落としどころに至る情報が洩れなく書かれていたんだと気づくことになるわけですが。。。
何よりも構成力が光る小説ということは確かかも、600Pと、ちょっと長いけれど。。。

2020年4月発行 株式会社東京創元社 ★★★☆

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〈第10客室の女上・下〉ルース・ウェア

旅行雑誌の編集長の代わりに豪華客船に乗り込んだ記者ローがそこで自分が観た事件の真相を探ろうとするという話だけれど、なかなか面白い。
ローの設定に少しだけイラッとくるけれど(飲みすぎて前後不覚になって強盗に入られて怖い思いをしたのに、また懲りずにお酒をあびて前後不覚になるところ(笑))、こういう設定にしないとこの物語が成立しないので、そこのところは、ま、いいか(笑)
実際に客船で行方不明になる人がかなりの数になるらしいので、そこのところのミステリーのやりやすさ(警察が容易く乗り込めないとか)が良いのかもしれない。
ただ、この本、泥棒に入られたところが伏線なのかと思っていたらそうでもないみたいだしで、最後の展開もちょっと安直のような気がして(口座番号分かったのとか(笑))、う~んという感じもする。
あまり考えないで読むのが超訳に求められている素材ということのようですね。
超訳で噂に聞くアカデミー出版の本、初めて読んだかもしれない。。。

2020年2月発行 (株)アカデミー出版 ★★★

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〈55〉ジェイムズ・デラーギー

チャンドラー巡査部長が勤めるオーストラリアの片田舎の警察署に、ある男が駆け込んでくる。
男は何者かによって監禁され「お前は55番になる」といわれて、命からがら逃げてきたといい、監禁した男の特徴を言う。
男は警察官の保護のもとにホテルに行くが、すぐにも警察署に監禁した男と似た風貌の男が現れる。
が、その男は、前の男と同じことを言い、自分のほうが監禁されて命からがら逃げてきたと言い出す。
果たしてどちらが本当のことを言っているのか?
という、つかみの部分だけでも、面白そうな匂いが漂うミステリーだけれど、著者はこの作品がデビュー作らしい。
だからか、つかみはいいんだけれど、展開がちょっと雑かもしれない。
監禁されたと言い張る男が2人いるわけだから、まずはその監禁された場所である森を捜索して(捜索しなくても監禁されて逃げてきた男が2人もいるわけだからすぐにわかるはず)、そこがどのようなところでそこには何があって犯人の遺留品はあるのかとか、事実をきちんと確かめなきゃいけないのに、それを放置して何日後に犯人の仕掛けた発火装置で小屋が燃えてから、警察官が慌ててそこに行くという、お粗末すぎる展開に唖然。
それはラストの展開にも言えるけれど、そこはもういいや(笑)
監禁された小屋に行って、監禁場所の指紋を採れば、監禁された男が分かって捜査は終われたのに(笑)
肝心の監禁小屋の描写がないなんて(笑)、ミステリーにしてはこういったところがフェアじゃないような気がする。
そういった描写も入れて読み手に納得させたうえで、解き明かされる真実、みたいなものだったらもっと面白かったかもしれない。

2019年12月発行 株式会社早川書房 ★★★

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〈生物学探偵セオ・クレイ街の狩人〉アンドリュー・メイン

前作で森にいる変な殺人鬼(笑)を仕留めた生物学者のセオ・クレイ。
この事件で有名になりすぎたことからある男が訪ねてくる。
息子が何年か前に行方不明になったので、その事件の真相を探り出してほしい。
セオ・クレイは最初はしぶしぶという感じで引き受けるが、次第に事件の真相を知るために奔走する。。。
シリーズもの第2弾という感じだけれど、前作に比べると、得体のしれないスリルみたいなものはないかもしれない。
今回は生物学探偵といっても、人間の行動を生物学的に考えてどうたらとか、見つかった骨が動物じゃない、くらいしか役に立っていない感じもするけれど(笑)、菌をばらまいて犯人を追跡するのは、ちょっと型破りで目新しい。
でも、せっかく生物学探偵というシリーズなのだから、もうちょっと生物学の知識が役に立って、そこから謎が解けるような展開だと面白味も増してくるいかもしれない。

2020年1月発行 株式会社早川書房 ★★★

ようやく図書館の予約受け渡しができるようになりました。
知らぬ間にあと予約1番目が多くなっていて、こりゃ、どんどん読まなきゃという感じです。
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司をよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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