〈盲剣楼奇譚〉島田荘司

警視庁刑事の吉敷竹史は東京で開催された個展の日本画に惹きつけられた。
それは鷹科艶子による、赤子を背負った美剣士の画で、どうやら、戦後の混乱に悪人たちに籠城された盲剣楼で、女たちを救ってくれた剣士の画だという。
艶子は吉敷の妻、通子の知り合いでもあった。
が、そんな艶子のひ孫が何者かに攫われてしまう。
警察に内密に解決してほしいという通子の頼みで、吉敷はひとり内密に動くのだが。。。
この本の表紙を見て、吉敷竹史シリーズって、いつの間にか時代物になってしまったのかと疑ったけれど、なるほど、例によって謎が解かされるエピソード、本題である現代と戦後よりも、長いエピソードが江戸末期のころなんですね。
女たちを救ったのは誰かはすぐわかるので、どうやって救ったのかというのが、今回の見せ所といった感じです。
そして、謎が解き明かされたとき。
久々に凄いのキター(笑)
一歩間違うとギャグになるやつキター(いちおう褒めてる(笑))
と叫びました。
思いもよらぬものをひょっと出してくるからあなどれね~
今回、こう来るとは、読めなかった。
衝撃ならぬ、戦慄が走ったかもしれない。
ということで、色々なことはあまり考えないようにしよう(笑)
それが正しい島田荘司本の読み方かもしれない。

2019年8月発行 株式会社文藝春秋 ★★★☆
スポンサーサイト



〈鳥居の密室〉島田荘司

古都京都で起きた10年前の事件。
一階で殺されていた母親と、二階で寝ていた8歳の娘。
母親は密室で殺され、二階で寝ていた娘の枕元にはクリスマスプレゼントが置かれていた。
いったい、どうやって、母親は殺され、娘にはクリスマスプレゼントが置かれていたのか。
それと並行して、近所で起きていた怪現象。
御手洗潔がこの謎を解き明かす。。。
京大医学部の御手洗さんということで、かなり年代古めの設定。
なるほど。
この年代だからこそ、出来る密室ということで、私も何となくそういうところを考えていたので、今回の密室の謎は、ま、そんな感じか、と(笑)
今回、短篇を膨らませた感じなので、比較的あっさりという感じだけれど、ちょっとした伏線が見事に回収するラストはなかなか良い感じでした。
ただ、冒頭の有馬さんの観た、アレはただの幻覚だったってこと?
アレを説明するトリック、一生懸命考えてた私がいるんですが。。。(笑)

2018年8月発行 新潮社 ★★★

〈御手洗潔の追憶〉島田荘司

「ちょっとヘルシンキに行くので留守を頼む」と手紙を残し、石岡和己を捨てて(笑)日本を去ってからの御手洗潔の軌跡という感じの本書。
まずは「御手洗潔、その時代の幻」では著者本人?の御手洗へのインタヴューで始まる。
そのインタヴューのラスト間際で天使がいっぱい入っているという御手洗の謎を解くかのような、「天使の名前」は御手洗の父親の開戦から終戦、そして広島に原爆が落ちるまでを描いている。
開戦から終戦までは興味深い話だったけれど、天使云々の話はちょっと神かがりすぎて私の手には負えない感じかも。。。(笑)
その他、石岡君のインタヴューとか、ちょっとマニアが喜ぶテイストといった感じで、短篇集というよりは番外作品集というのが本書の位置ということになるかもしれない。
著者のあとがきで、御手洗と石岡君の再会が近い感じを予感させる記述が載っていたので、こちらも楽しみです。

2016年6月発行 株式会社新潮社 ★★★

〈屋上の道化たち〉島田荘司

なんか御手洗潔シリーズ50作目みたいです。
いつのまにかそんなに書いちゃいましたかという感じだけれど「占星術殺人事件」からすでに35年!が経っているので、ま、そんなに書いちゃってるんでしょう。。。
今回はまだ御手洗さんが馬車道で石岡くんと同居していたころの話らしい。
いきなり炊飯器でみかんケーキを焼くという、そういう趣味に石岡くんがはまっているところから始まったので、ほう、炊飯器でケーキが焼けたんだと、ケーキを焼いたことのない私が興味を示しちゃいましたが、作る気はぜんぜんないのでそこのところの詳しい作り方はスルー。
小麦アレルギーは少し改善したのだけれど(改善するとは(笑))、柑橘アレルギーのほうが勢力を拡大してしまったので、みかんケーキはたぶん、死ぬ(笑)
今回はおおざっぱに言うと、屋上で自殺しそうにない3人が次から次へと飛び降りてしまうという謎を解き明かす話。
いろいろなことが一つにつながる面白さはあるんですけれど、それが3人が屋上から飛び降りた理由となると、ちょっとと思う。
物理的な何かがあるのならともかく、それで3人とも飛び降りるのか、と。
あいかわらず都合の良い小細工が爆発しているので(笑)、納得できない部分はあるのだけれど、島田荘司だからしょうがないという極致になりつつあるジャンルなのかもしれない(笑)
もうそろそろ「占星術殺人事件」とか「摩天楼の怪人」級の本格ミステリ大作が欲しいところです。

2016年4月発行 講談社 ★★★☆

〈ブルーアウト〉鈴木光司

1890年のトルコ軍艦の海難事故という史実に着想を得て書き下ろしたと帯で謳って、ついでに「海難1890」という映画の宣伝が載ってますけれど、映画はこの本が原作ってわけではないみたいで、ただ単にトルコの海難つながりだけですか?
なんかそこのところが紛らわしい感じがしたんですけれど。。。
あらすじとしては、和歌山の串本でダイビングショップを営んでいる女性の水輝のもとにトルコ人男性が訪ねてきて、125年前に海難にあった祖先の「あるもの」を探すというもの。
ただそれだけの話なんですけれど、1890年の海難事故の顛末を描いたりと、ちょっとした読みごたえのある本になっている。
1890年の海難事故は起こるべくして起きたみたいなところは、やはり上に立つ人がダメすぎた感が強くて、ダメなトップの下で働くって大変だと思ったりした。
現代のお話でのスキューバダイビングでの危機一髪なシーンはとってつけた感があってなんだけれど、「あるもの」を絡めた1890年と現代の話がちょっとした感動があるところが今回の読みどころかもしれない。
ま、正直、125年前のブツが現代で見つかる可能性はほぼない感じだけれども。
ミステリではなくて、文芸っぽさが前面に出た感じの話だけれど、ラストにちょっとした超自然現象を入れてくるのはやはり鈴木光司らしいかな、と。
全体的には可もなく不可もなく、無難な感じの小説としてまとめたって感じな話でした。

2015年12月発行 小学館 ★★★☆
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司をよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
リンク
カテゴリ
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

RSSリンクの表示
検索フォーム
訪問者数