〈新しい十五匹のネズミのフライ〉島田荘司

ジョン・H・ワトソンの冒険という副題がついているので、ホームズパスティーシュということのようです。
まあ、どう読んでも御手洗潔と石岡君みたいなノリですけれど。。。(笑)
話はホームズものの「赤毛組合」に続きがあったという感じの展開。
「赤毛組合」は新聞で赤毛組合に一人欠員ができたのでそれを募集するというのを見た赤毛の男がその場所に行き採用され、百科事典を書き写すだけでいい給料がもらえるのだけれど、八週間後にその組合自体がなくなってしまうというもの。
ま、このあとは「赤毛連合」のネタバレになってしまうので書かないけれど、本作はホームズのコカイン中毒とワトソンの恋愛を絡めての冒険みたいな感じになっています。
そして本書の最大の謎である「新しい十五匹のネズミのフライ」というキーワードも、ネタバレするとそれほど見事な着地点というほどでもないけれど、ホームズの話に出て来る人物と事件とかが散りばめられていてそれだけでニヤリとできるかも。
ラストに行くしたがってちょっと冗長というのがなんですけれど。。。

2015年9月発行 新潮社 ★★★☆

〈樹海〉鈴木光司

短篇集という感じたけれど、一篇一篇がどこかで樹海?つながりがある連作集といったおもむきかもしれない。
1話の「遍在」は、ただ男が生活に絶望して樹海で死を遂げるまでを描いた作品なのだけれど、奇妙な落ち方をしていて、そこのところが2話の「娑婆」ににつながり、なんかとても怖くて続きを読めなかった。
たぶん本当はそんなに怖い話ではないのかもしれないのだろうけれど、夜に読んでいたのと私が勝手に創造力を広げて色々と考えてしまうせいもあるかもしれない。
次の日の昼間に続きを読んだら、それほど怖くなくて(笑)、その日のうちに完読してしまった。
こういう話は夜に読まないようにしようと思う(笑)
話としては4話「使者」から始まる、人気絶頂の女優があることで芸能界を退いた話を、5話の「奇跡」で、さまざまな人物の色々な人生の喜怒哀楽でつなげたところが個人的には好きかも。
ちょっとドラマの「プラトニック」のホームレスの老人と青年とのやり取りが目に浮かんだりした。
もしかして、鈴木光司、観てた?(笑)
登場人物のほとんどが死ぬほどの目にあっている重い人生だから、こういったちょっとした光が、読み手の救いにつながるんだと思う。
4、5話に限っては★★★★をつけたいくらい。
これで終わらせたら多分そうなったんだろうけれど、6話で、あれれ?な感じ終わってしまって。。。(笑)
でも、ま、説明つかないような奇妙な話を描くようになった鈴木光司もなかなか面白いかもしれない。

2015年4月発行 文藝春秋 ★★★☆

〈星籠の海上・下〉島田荘司

御手洗シリーズ最新作は、久々の分厚い上下巻で、しかも、国内篇、最終章というから、嫌でも期待が高まりました。
国内篇、最終章ということは、石岡和己の登場もこれで最後になってしまうんでしょうか。。。
最近めっきり、出番が少なくなってきたと思っていたけれど、もしかしたら、著者がもう書きたくないとか思っているのかも。。。
御手洗に捨てられ(笑)、著者にも捨てられた、石岡君はちょっとかわいそうな気もする。。。(笑)

瀬戸内海の小島に漂流してくる幾つもの死体の謎を解きに、はるばる横浜からやってきた御手洗たちは、やがて古からの港である、鞆に行きつくのだが。。。

国内篇最終章、瀬戸内海が舞台ということで、スケールの大きい話を期待していたのだけれど、読みすすめるうちに、意外とスケール小さい(笑)話だったので、期待がちょっとだけしぼんでしまった。
でも、分厚い上下巻にも関わらず、ぐいぐい読ませる展開は健在で、星籠(せいろ)の謎など島田荘司ならではの奇想のいきつくさきは面白い。
なので本編の国際的な重要犯罪人はどうでもいい感じになってしまってた。。。(笑)
これで国内篇のラストということだけれど、案外、あっさりした終わり方で、ちょっと肩すかし。。。
とりあえずは次の御手洗シリーズ海外篇に期待という感じでしょうか。

講談社 2013年10月発行 ★★★☆

〈タイド〉鈴木光司

「エッジ」でシャーリィ・ジャクスン賞を受賞して、びっくりこいていたんだけれど、あの前人未到のトンデモワザ?(笑)がアメリカ人にも通用したのかと思うと、ちょっと誇らしい気分になったりもしました。
ともあれ、私が2009年度のベスト1に推した「エッジ」が受賞となったというのは嬉しいし、私の眼もまんざらではないな、と(笑)
これからも隠れた優れ本を掘り起こしていこうと、「エッジ」の受賞を目の当たりにして改めて思ったしだいです。

で、「タイド」だけれど、これは「リング」シリーズの最新作。
まだ続くのか「リング」シリーズ、いいかげんにしろよという感じたけれど(笑)、今回、貞子の真の目的というのがわかってきて、この部分、おののきました(笑)
ここらあたりの展開はもしや「リング」のときに考えていたものなんだろうかと、と思い、いや、これはここにきて辻褄合わせを必死こいてしたのではないかと個人的には思っているんだけれど(笑)、でもこの部分、びっくりするほどピタリとはまって、思わず唸りました(笑)
この部分がなかったら、あいかわらず、いいかげんにしろよ的げんなり展開で(笑)、もうこれ、いいよ、な感じだったんですけれどね。
この部分で、点数も☆ひとつ多くついたかも。。。
これ、今回で完全に終わりなのか、それともまだつづくのか。。。う~ん。。。

角川書店 2013年9月発行 ★★★☆

〈アルカトラズ幻想〉島田荘司

あの、アルカトラズ刑務所を舞台にしたというのもそうだけれど、帯に「本格の新地平を切りひらく」と書いてあって、それもなおかつ期待感をあおりました。
今度はどんなトンデモなことと結びつけてしまうのか、と(笑)

時は1939年。
ワシントンDCの森で女性が殺されているのが発見される。
女性器の周辺を丸く切り取られていたために、内臓が垂れ下がって発見されたのだ。
時をおかず、似たような猟奇的な事件が起きて、やがてひとりの男が逮捕される。
男は、すぐにもアルカトラズにある刑務所に収監されてしまうのだが──

今回はこうきたか。。。(笑)
猟奇的事件があって、犯人が逮捕されて、舞台はアルカトラズ刑務所になって「ショーシャンクの空に」のノリかと思っていたら、いきなりパンプキン王国ですからね(笑)
これっていったいどう収拾するのかと思っていたら、ちゃんとしたオチがあったのには驚いた。
でも個人的には、パンプキン王国から乗れなかったかも。。。
読んでいるうちにネタが判ってきたし。。。
私としては、もっとストレートな本格ミステリな謎解きが読んでみたいから、どうしても今回は辛口気味な感想になってしまうかも。
でも重力論文の、恐竜がなぜあの巨体で、素早く動き自由に獲物を捕えていたのか?で、現代よりも恐竜の時代のほうが重力が薄かった説には、妙に納得。
現代のように重力ができたので、巨体な恐竜が素早く動けなくなり滅びたというのは、もしかしたらありえるかな~と。
写楽説もそうだけれど、こういった歴史の謎の、島田荘司氏ならではの見解は、なかなか良いところを突いてくるような気がする。
脇話だけが妙に感心できるので、これが本編にピタリとはまると、もっとよかったかもしれない。

文藝春秋 2012年9月発行 ★★★☆
プロフィール

藤中

Author:藤中
好きな作家は
F・ポール・ウィルスン。
他にスティーヴン・キング、ブレイク・クラウチ、ジョージ・R・R・マーティン、伊坂幸太郎、近藤史恵、島田荘司をよく読んでいます。
たまに映画関連、海外ドラマ関連、KinKi Kids関連の投稿があるので、
気をつけてください。

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